この記事は中野晴啓氏の著書『普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方』の内容を抜粋したものになります。

※以下、書籍より抜粋

普通に働く人が「やってはいけない」投資とは

さて、投資をするというと、まず思い浮かぶのは、どんな商品でしょうか?

株式、FX、外貨......、しかし、皆さんが思い浮かべるほとんどの商品は、実質的に「普通の人がお金を貯める」ための商品ではありません。

ここでまず、普通の人には向かない金融商品について、紹介したいと思います。

一つには、株式。特に株の短期トレードが挙げられます。

結論から言ってしまいますが、私は、一個人が自分の判断で投資をしても、成功するのは難しいと思っています。「成功」が何を示すのかにもよりますが、長期にわたって年平均3%、あるいは5%のリターンをコンスタントに上げ続けることさえ、難しいでしょう。

確かに、個人投資家の中には、株式やFXのトレードで、自分の資産を1億円以上に殖やした「億トレーダー」がいます。でも、一方では、投資した資金の大半を失って、マーケットからの退場を余儀なくされた人が、大勢いて、まさに死屍累々の状況です。

しかし、それも当然のことです。短期トレードは「ゼロサム」の世界であり、誰かの利益は誰かの損になるからです。同じパイを大勢の投資家が奪い合っているのが、短期トレードの世界です。したがって、今は億トレーダーでも、いつかその座から滑り落ちるというケースも、少なくありません。

たとえば、これまでも2000年にかけてのITバブルや、2003年から2007年にかけての景気拡大局面で、多くの個人トレーダーが大きく稼ぎましたが、その後の株価急落で資産の大半を失い、全く表に出てこなくなった人も大勢います。

もちろん、資産が最大になったところですべての保有している資産を売却し、利益を確定できた投資家も、ごく一部にはいると思いますが、大半の人は、自分が大きく儲けている時ほど、この状況がまだまだ続くと錯覚してしまいがちです。

その最中に、ITバブルの崩壊や、リーマンショックといった株価の大暴落に直面し、資産の大半を失ってしまうのです。

なぜ、途中でやめられないのかと思うかもしれませんが、マーケットの環境が絶好調で、その最中に大儲けした投資家は、大概が”勘違い君”になってしまいます。

単にマーケットの追い風に乗っただけなのに、さも自分が投資家として物凄い才能があるかのように思い込んでしまうのです。

でも、残念ながらそれは錯覚に過ぎません。実際、個人投資家として20年も30年も残っている人は、本当にごく一部です。

今、マネー雑誌などで頻繁に取り上げられている投資家も、たまたまこのアベノミクスによる上昇相場に乗っただけかもしれません。

仮に、再びリーマンショック級の大暴落が来たら、大半の個人投資家は、消えてしまうと思います。

このような再現性のないやり方は、将来安心できるお金をつくるには不向きです。