2025年の日本は、段階の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、超高齢社会を迎えます。介護費用や医療費といった社会保障費は急増する見通しで、将来、国から年金や医療費を受け取れるかどうかはわかりません。その点、親の老後の問題はいずれ直面するものである関わらず、つい目を背けてしまいがちです。問題に実際に直面してからでは手遅れということもあります。

今回は、親に老後の話をする際に必要なポイントを3つにまとめて説明します。どれも一朝一夕では終わらないような話ばかりですが、ぜひ親が元気なうちから少しずつ始めましょう。

まずは家族関係の再構築を

親・親戚との関係が疎遠になっていないでしょうか。お金というものもそうですが、これらはすべて信頼の上に成り立っています。もし親族との仲が疎遠になっているのであれば、まずはその関係を見直すことが先決です。

とりわけ大切なのは、やはり親との関係です。たとえば、日頃ほとんど会話をしない状態であるにも関わらず、帰省するやいきなり親に「要介護状態になったときどうするのか」とか「老後を安心して過ごすだけの資産があるのか」などとシビアな会話をしたら、お互いの関係に亀裂が入りかねません。

親と介護や老後の話をためには、まずは日頃から定期的に電話をかけたり、年に何度か顔を出しに訪れたりするといった、当たり前のことが求められます。早い段階から介護や、また資産を含めた老後の話をするためにも、お互いに心の通い合うコミュニケーションを随時増やす努力をするべきです。

併せて、親戚などとも、できれば定期的にコミュニケーションを取っておきたいところです。老後の生活や介護の世話・費用などのシビアな話について、認識を共有するためです。

親が倒れてしまってから相続がらみのもめごとが出てくると、当然ながら親族一同の足並みはきわめて揃いにくくなります。生活の世話やお金などについても、親族一同で協力して支援するような体制がとれません。親が元気なうちに、将来的に協力を得られそうな親戚の数を増やしておくようにしましょう。

漠然とでも親の資産の全体像を

親をはじめとする親族の信頼が得られたのであれば、次に親の健康が損なわれる前に資産の全体像を大まかにでも棚卸ししておきましょう。

資産の全体像をつかんでおくことで、老後の生活に対する金銭的な備えがどこまでできているのか理解できます。一般的に老後資金の目安が3,000万円とされる中で、自分の親がこの水準に達しているのか確認すれば、子どもとして支援が必要かどうかも分かります。内閣府の発行する「平成30年版高齢社会白書」によると、貯蓄が3,000万円に達する60歳以上の世帯は約4分の1にとどまっています。

資産の棚卸しは、親自身が現実を知るためにも大切な作業です。家計簿アプリのように収支や資産を簡単に把握できるツールのある現代とは異なり、かつては紙資料をすべて手作業で集計しなければなりませんでした。そうなると、資産額を親自身が把握しておらず「貯蓄額は問題ない」と誤解している可能性もあります。資産の棚卸しによって、客観的に額を把握することが重要です。