「扶養とは、自分の力で生活を維持することができない人に対して生活できるよう世話すること」というのが本来の意味です。

その中でも扶養手当は家計にとってはありがたい収入のひとつで、これをもらうために仕事を控える方もいるのではないでしょうか。

この扶養手当、働き方改革に伴い取りやめる企業も出ているとのこと。 もともと全ての会社で支給されているものではありませんが、当たり前に収入となっていた家計にとっては大きな問題です。

そもそも、扶養に入るってなんなのか?

扶養に入ることでお金の面ではどんなメリットがあるのかをまとめてみました。

扶養手当って誰がもらえるの?

所得税と社会保険の扶養は、法律で決められているので誰もが受けられるメリットです。

一方で「扶養手当」や「家族手当」と言われているものは企業ごとに決められて支給されるものです。養者が勤務している会社によって条件が違っている上にすべての会社で実施しているとは限りません。

一般的に配偶者と子どもの数によって支給する金額は異なり、配偶者については社会保険での扶養と同じく所得により支給を制限している企業がほとんどのようです。

「扶養」する家族がいることで得られる3つのメリット

家族内に扶養関係があることで得られるメリットは次の3つです。

(1)所得から控除が受けられるので所得税が低くなる(扶養する人)
(2)保険料を払わずに社会保険(健康保険)の対象になれる(扶養される人)

この2つは国の決まりなので条件を満たしていれば誰でもが公平に受けることができるメリットです。

(3)勤務先から扶養手当が支給される(扶養する人)

これは、勤務先の規定によるので一律ではなく支給していない会社もあります。

扶養のメリット(1):所得税

(写真=Pachai Leknettip/Shutterstock.com)

所得税法上扶養している配偶者や親族がいる場合には「配偶者控除と配偶者特別控除」「扶養控除」、大きく分けてこの2つを受けることができます。

1.配偶者控除・配偶者特別控除

この控除が受けられる条件は以下です。

(1)扶養している配偶者(例えば夫)の年間合計所得が1000万円以下であること
(2)扶養されている配偶者(例えば妻)の年間合計所得が38万円以下であること(配偶者特別控除の場合は38万円超123万円以下)
(3)婚姻関係にあること(内縁は認められない)
(4)同一生計であること
(5)事業専従者給与をもらっていないこと(夫や妻の経営する事業所から給与をもらっていないこと)

平成29年までは扶養している人の所得に関係なく配偶者控除を受けられましたが、平成30年以降は(1)の条件が追加され、年間合計所得が1000万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も受けられなくなりました。

所得から控除される額は、扶養する側と扶養される側の所得によって段階的に金額が決まっています。

もっとも多い金額で38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)、もっとも少ない金額で1万円です。