離婚時にトラブルになる契約関係の筆頭に住宅ローンが挙げられます。夫婦が一生一緒にいることを前提に結んだ契約や保証が二人の関係性が変わった途端、さまざまな思惑が絡み合う複雑な問題と化してしまうのです。

もし自分が直面したら……という危機感はあっても、解決策を知らない方が大半なのではないでしょうか。住宅ローン返済の基礎知識をおさらいしたうえで、筆者が実践した離婚後の契約と保証問題の泥臭い解決方法をご紹介したいと思います。万が一のときの参考になれば、幸いです。

離婚時の住宅ローン、どうやって解決したらいいの?

(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

まずは、離婚時に完済していない住宅ローンにはどんな解決策があるのかを学んでおきましょう。

住宅を処分して一括返済する場合

これは、住宅を処分してローンを終わらせてしまうやり方で、もっとも後に引きずらない方法です。

住宅を売却したお金で完済でき、ローンが残らない状態を「アンダーローン」と言います。売却益が残っても、財産分与などに含めて処理すれば終わりです。

一方、売却してできるお金よりも残債の方が多い状態を「オーバーローン」と言いますが、預貯金や親の援助、他からの借り入れなどを利用して完済できるのであれば、完済してしまった方が問題が簡単になります。

足りないお金を工面できない場合、ローンの貸主の許可を得て「任意売却」という手段を取り、残った分を月々返していくこともできます。

どちらかが住み続ける場合

住宅を処分せず妻か夫どちらかが住み続ける場合は、住宅ローンが継続されます。

この際気をつけることは、不動産の名義人である住宅の所有者、ローンの借主(債務者)、住宅に住む人をそれぞれどうするのか整理することです。基本的には、三者を一致させておいた方がトラブルになりません。

トラブルになりやすいのは、名義人と債務者が別れた夫婦の一方で、住んでいるのがもう一方の場合です。ローン返済のモチベーションや離婚後の経済状況の変化などで返済が滞ったとき、住んでいる方は確実に返済させることが難しく、知らないうちに家を失うことにもなりかねません。

連帯保証している場合

ローンの債務者が一方の場合、もう一方がその連帯保証人になっているケースも多いでしょう。

連帯保証は、離婚したからといって自動的に解除されたりはしません。連帯保証人は貸主にとっては、ローンの回収を確保する手段です。外すことはありませんし、貸主の方から連帯保証人の変更を切り出すこともありません。

新たな連帯保証人を立てて交渉し、契約し直すこともできますが、新たな連帯保証人を見つけることがまた難しいのです。