離婚する場合、母親が子どもを引き取ることが多いですよね。その後、母親が再婚すると、子どもに将来かかるお金(教育費や生活費、医療費など)にどのような影響があるか心配になる人も少なくないのではないでしょうか。今回はケース別に、養育費にどんな影響があるのかをについて詳しくみていきます。

そもそも「養育費」とは

(写真=PIXTA)

養育費とは、未成年の子どもが生活するのに必要な費用のことをいいます。子どもの日々の衣食にかかる費用のほか、住居費、光熱費、医療費、学費などが含まれます。

ただし、学費のなかでも、私立学校の学校教育費(入学金、授業料、交通費など)や学習塾の費用といった、金額に幅があるものやまとまった金額になるものは、月々の養育費の支払いと同じように考えるのは難しいでしょう。その場合は、月々の養育費の支払いとは別に「特別の費用」として、必要になるときに応じて、双方が分担する割合なども含めて別途話し合いで決めることが多くなります。

再婚で養育費に影響があるのはどんなケース?

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再婚することで養育費に影響を受けるのは、どのようなケースでしょうか。ケース別に見ていきましょう。

離婚後、自分が連れ子再婚をした場合

このケースには、2つのパターン(あるいは両方)あります。

自分が養育費を受け取っているとき
まずは、自分が離婚のときに子どもの親権を持ち、養育費を元配偶者からもらっている場合をみてみましょう。

この場合は、自分の連れ子が再婚相手と養子縁組をしているかどうかで、養育費にどのような影響が及ぶかが決まります。養子縁組をすると、法律上、再婚相手と連れ子との間に法律上の親子関係が認められることになるため、その子ども(連れ子)を扶養する第一次的な責任が再婚相手に生じるからです。

ただし、再婚相手が無職でご自身が養っているような状態であれば、連れ子を扶養する第一次的な責任が再婚相手にあっても、実際のところとても扶養できる状態とはいえません。この場合には、引き続き元配偶者が実子である自分の連れ子の養育にかかわる費用を負担することになります。

再婚相手の収入が十分にあれば、連れ子を経済的に養うことができますから、もし何かの事情で再婚が元配偶者に分かってしまうと、養育費の減額や免除を求められるかもしれません。

これに対して、再婚相手と連れ子が養子縁組をしていないのであれば、法律上他人同士となり、扶養義務は発生しません。再婚相手が元夫より収入が多かったとしても、そのまま元夫が養育費の支払いをする必要があり、再婚相手の収入により、養育費の減額・免除を求めたりすることはできないことになります。

再婚相手が養育費を支払っているとき
次に、再婚相手が前妻との間の子どもに対して養育費を支払っている場合はどうなるのか見てみましょう。

このケースでも、再婚相手が自分の連れ子と養子縁組をしているのであれば、扶養している家族がその分増えることになります。自分は専業主婦で働いていない、あるいは、働いていたが現在育児休業中であるというときも、再婚相手に養われていることになります(ただし、育児休業中のときは、復帰後に見込まれる収入を踏まえて養育費の金額を考えることになります)。また、再婚相手との間に子どもが生まれたときも同様に、再婚相手が養う家族が増えることになります。

再婚相手が養っている家族の状況や人数をふまえて、元妻の引き取った子どもに支払っている養育費が高いのでは?と思える事情があるなら、再婚相手から元妻に対して養育費の減額などを求めることを検討してよいでしょう。

離婚後、元配偶者が再婚した場合

逆に元配偶者が再婚したときは養育費に影響があるでしょうか。

元配偶者が離婚のときに決めた金額の養育費をそのまま支払い続けてくれているのであれば、こちらの方からも特に何かをいう必要はないでしょう。

ただし、元配偶者に家族が増えると、収入がそれに応じて増えているという事情などない限り、生活が苦しくなってくる可能性が高いでので、養育費を減額・あるいは免除して欲しいと言ってくるかもしれません。

特に再婚によって、連れ子との関係が疎遠になり、面会交流がまばらになるような状況があれば、養育費の減額や免除の申し入れの話が出やすくなってきます。