モラルハラスメント(モラハラ)とは、身体的な暴力ではなく言動や態度によって相手に精神的苦痛を与えることを指します。「会社での上司と部下の関係に起こりがち……」というイメージがあるかもしれませんが、近年男女関係においてパートナーのモラハラに苦しむ人が増えているといいます。今回は元妻・元彼女が体験した、モラハラ夫・モラハラ彼氏とのお金にまつわるエピソード3選を詳しくご紹介します。

お金なく離婚も困難……モラハラ夫と別れるために

(写真=PIXTA)

60代女性のMさんは、婚姻生活34年に渡る夫との離婚を決意しました。Mさんは結婚当初からずっと夫からのモラハラに悩んでいました。「誰に食べさせてもらっていると思っているんだ」など毎日罵詈雑言を浴びせられることもしばしば。しかし、離婚後の生活に経済的な不安があり躊躇していたのです。

Mさんが夫との離婚を決意したのは、実母が亡くなったのがきっかけです。それまでは、母親に自分が離婚を告げることで悲しませたくなかったのです。職業経験が少ないMさんは、一人で生活をやりくりできる自信がなかったので離婚のタイミングは夫の退職、つまり退職金が受け取れる時期と決めました。離婚の際、退職金は財産分与の対象になると聞いたからです。そして、まずは社会に出て働くことから始めました。

Mさんの予想分与財産は夫の退職金を含めると1,600万円ですが、収入がなければ老後の資産として十分とは言えない金額です。まずは週2回程度のパートから体を慣らし、5年間で週5日まで働けるようになりたいと思っています。1年間で200万円貯めるのがMさんの目標です。

児童手当すら使い切る夫

(写真=PIXTA)

モラハラ夫との離婚に踏み切ったのは、20代女性のKさんです。

Kさんが元夫との離婚を考え始めた原因は、金銭感覚のズレでした。元夫は後先を考えず、あるだけのお金はすべて使い切るような人だったのです。「お前は毎日子どもの世話をしているだけだから楽でいいよな」などと小言を言いつつ、毎月Kさんには必要最低限の金額しか渡してくれませんでした。

残りのお金はすべて元夫の管理下にあり、Mさんの意見には一切聞く耳を持ってくれません。挙句の果てには子どものための貯金にまで手を出し、内緒ですべて使い切っていたのです。

ある日、元夫に借金があるという事実が判明したことをきっかけに離婚を考え、Mさんから別居を申し出ました。しかし離婚が成立するまでの期間においても、元夫からの執拗な言葉の暴力は続きました。

Mさんは「もう二度と経験したくありません。」と語っていました。