離婚したいという気持ちがあっても、その後の生活に対する金銭的な不安があって踏みとどまっている方は少なくありません。離婚後に必要なお金や受け取れるお金について、Mさんの事例をもとにご紹介します。

離婚したいけど、自分の収入が少なくて不安

夫と高校生の娘と暮らすMさん。夫とはほとんど会話がなく、離婚を考えています。

ただ、Mさん自身はパートとしての収入(月10万円)しかなく、家計は夫の収入をもとに成り立っています。さらに高校生の娘も大学進学を希望しているということで、お金の不安が大きいために我慢の日々を過ごしていました。

離婚時のお金について知ろう

もし、Mさんが離婚したらどうなるのでしょうか。いきなり家から出されて貯金もないまま月10万円で暮らさなくてはならない……とは限りません。

離婚するときは、「財産分与」といって夫婦2人で築き上げてきた財産を分配することになります。家や車、保険や有価証券、将来もらえるはずの年金などさまざまな資産が対象です。

もし夫のみが名義人になっている資産でも、夫婦の協力によって得られたとみなされれば、Mさんも受け取れる可能性があります。

また、もしMさんが娘さんを引き取って育てていくことになったら、夫から養育費を受け取る権利もあります。裁判所が公表している算定表によると、15歳以上の子ども1人、会社員の夫の年収が500万円、Mさんの給与120万円とすると、毎月の養育費の目安は6万円~8万円となっています。

財産分与や養育費の金額は夫婦の合意内容によって変わるので、離婚前に話し合っておきたいポイントです。いずれも受け取る権利があるので泣き寝入りしないようにしましょう。また、離婚の原因によっては夫に慰謝料を請求できることもあります。

夫婦でよく話し合って、決めた内容を書面(できれば公正証書)に残しておくのがおすすめです。

話し合いがうまくいかない場合は、裁判所で「調停(ちょうてい)」を申し立てることもできます。これは、第三者にあいだに入ってもらってお互いの意見の調整を図るものです。裁判より手続きも簡単で費用も安く済みますよ。