大人の実家暮らしは決して甘えではありません。日に日に老いてゆく親と向き合うことは、これからの自分の人生をどのように生きたいか考えることと同じなんです。両親との向き合い方、受け入れ方を一緒に考えてまいりましょう。

大人の実家暮らし=甘えているって言わないで!

「今も実家で暮らしています」と告げただけで「甘えている」と口にする人がいます。たしかに実家にいれば、ひとり暮らしよりも結婚生活よりも費用がかからず、なおかつ両親が側にいてくれる安心感が常にあります。

しかし実際は、1日ごとに老けてゆく両親の状態が目に入ってきます。一人っ子の場合は、両親になにかあったら自分だけで支えなくてはいけないプレッシャーとも戦わなくてはいけません。

少しずつ小さく丸くなりはじめた両親とどう向き合えばいいのか、一緒に考えてまいりましょう。

「今ここ」を家族みんなで大切にしながら生きていく

1日ごとに両親は確実に年齢を重ねていきます。けれど、ご家庭によっては定年退職後も働かなければならない状況だったり、あるいは働いていたほうが、気が引き締まると考えたうえで働き続ける人もいます。

しかし、そんな思いとは裏腹に両親の体力は日に日に衰えはじめます。少し遠出をしただけでもヘトヘトになりますし、注意散漫で小さなケガも増えます。そして……突然、両親が病にかかる可能性もあるのです。

いつどんな状態になっても後悔ないのよう生きたい、と思ったときに、両親の「老い」を受け入れるのはもちろんのこと、あまりよくばりをせず「今ここ」を家族みんなで大切にしながら生きることが、最高な「幸せ」のかたちではないでしょうか。

できないことが増えても親を責めない

年齢を重ねてくると、できないことが増えてきます。とくに実家暮らしの場合は娘や息子からすると「なぜ、できないの?」と思う瞬間も少なくないのです。両親の老いを感じはじめると、最初のうちはイライラしてきます。何度注意しても同じミスをしたり、頼んだことを忘れられてしまったりするとイライラするんです。

しかも同じ屋根の下で暮らしていれば、さらにイライラを発散させる場所がなくなり、両親と衝突(あるいは父親・母親のどちらかと)する機会も増えます。

できないことが増えてしまっても、それはもう仕方がないこと。孫が祖父や祖母にスマートフォンの操作方法を教えるときと同じように、できないことがあれば娘、息子として丁寧に教えてあげることで、両親も疑問や悩みが解決するのです。