政府が掲げる「人生100年時代」や「働き方改革」などのスローガンをきかっけに、副業(複業)や兼業を始める人が増えています。このような流れを受けて変化する企業の動向に加え、新しい働き方に必要な「エンプロイアビリティ」という発想について考えてみましょう。

未来につながる働き方が求められている

総務省が5年に1回刊行している「就業構造基本調査報告」によると、2017年度において副業している就業者数は約270万人で、副業なしの就業者数は約6,200万人となり、全体の就業者数の約4%が副業しています。

また、兼業・副業を容認・推進している企業は全体の28.8%で、2017年の前回調査より5.9ポイント上昇しています(リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査2018」より)。

企業が兼業・副業を認めている理由としては「特に禁止する理由がないから」や、「社員の収入増につながるため」「人材育成・本人のスキル向上につながるため」など、企業側のメリットだけでなく、社員のキャリア形成にも寄与するようポジティブな意見が散見されます。

現在、兼業・副業を禁止している企業も将来的に認めることを「現在検討中(7.5%)」「検討したい(9.2%」」と、副業解禁の流れが垣間見えます。

さらに、兼業・副業として働いている人を受け入れているかの質問では「すでに受け入れている(13.1%)」、「現在検討中(8.7%)」「将来的には検討したい(18.8%)」と、受け入れに前向きな企業の合計はすでに4割を超えています。

エンプロイアビリティという発想

社会が変わり、企業側の意識が変化している以上、そこで働く社員もまた変わらなければなりません。そのためには、これまでの働き方を根本から見直し、「働くこと」そのものへの考え方をシフトチェンジしていく必要がありそうです。

そのことが、新しい働き方への適応を促し、より時代の流れに適した仕事観にもつながることでしょう。そこで意識しておきたいのが「エンプロイアビリティ」という発想です。

エンプロイアビリティとは

エンプロイアビリティとは、特定の企業内だけでなく、広く労働市場で評価される就業能力のことで「労働市場価値を含んだ就業能力」と定義されています。厚生労働省が発表している資料によると、とくに労働者個人の基本的能力としては次の3点が挙げられています。

  • 職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
  • 協調性、積極的など職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの
  • 動機、人柄、性格、信念、価値観などの潜在的な個人的属性に関するもの