毎日あわただしく過ぎる日々。「こんなんじゃ、結婚して子育てもしながら仕事も続けるなんて、考えられない!」という看護師さんは多いと思います。「出産したら働くペースを落としたいけど、収入は落としたくない」……そんなわがままを叶える方法があるでしょうか?一緒に考えてみましょう。

妊娠した看護師のおよそ3割が「夜勤免除なし」

仕事と家庭の両立を難しく感じるあなたの思いは、多くの看護師さんが共感するでしょう。次の資料にそのことがあらわれています。

厚生労働省が2010年から2011年の間にかけて行なった「看護職員就業状況等実態調査結果」によると、退職理由で最も多かったのは「出産・育児のため」の22.1%でした。「結婚のため」も「その他」に次ぐ17.7%で、「家族の健康問題・介護のため」の6.9%を加えると46.7%です。半数近くがプライベートを優先させるためという結果でした。

これに対して全産業における女性の平均はどうでしょうか。同省委託事業の「出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業 労働者アンケート調査結果」によると、結婚・出産育児・看護介護の合計は7.3%。出産の中心となる世代の20~34歳に限定した「国民の生活に関する継続調査」でも43.9%と、看護職員の全世代にはおよびません。

46.7%と7.3%。この圧倒的な差はどこから生まれるのでしょうか。

お気づきの方も多いと思いますが、夜勤や残業など労働条件の厳しさによるものでしょう。日本医療労働組合連合会の「看護職員の労働実態調査『報告書』2014年」によると、妊娠した看護師の「約3分の1が夜勤免除をされていない」ということです。

労働条件の厳しさが、看護師のワーク・ライフ・バランスを難しくしていることが、統計からもわかります。

働く看護師ママにやさしいワーク・ライフ・バランス推進運動

ただ、先ほどの「看護職員就業状況等実態調査結果」が発表された2011年頃から、看護職のワーク・ライフ・バランスへの取り組みは進んでいます。

例えば公益社団法人日本看護協会はワーク・ライフ・バランス推進のために設けたサイトに取り組み事例を載せています。2019年2月時点でおよそ240件もの記載があり、「短時間正職員制度の利用促進・活用」「超過勤務時間の削減」「夜勤負担の軽減」「キャリア支援」などに多くの病院が取り組んでいることがわかります。

同協会の「看護職のワーク・ライフ・バランス(WLB)『インデックス調査』データ分析報告書」からも、取り組みが進んでいることがわかります。例えば出産後の夜勤免除を就業規則に入れている病院は2010年の38.7%から2015年の78.1%と、5年で倍近くに伸びています。

しかし、すべての病院が対応しているわけではありません。看護業界における家庭と仕事の両立支援はまだまだこれからといえます。