MBA取得者といえば、コンサルティングや金融機関に勤務する人が多いと思われがちですが、実際はMBAを取得することで身に付けた知識を生かせるフィールドは大変広く、注目度の高いAI関連企業など成長著しいベンチャー企業で経営やマーケティングにかかわる仕事に就くことも可能です。今回はMBAを生かせる仕事とMBAホルダーの転職事情を紹介します。

MBA取得後の転職事情と中途採用の現状

MBA取得が転職に有利な理由

MBAを日本語にすると「経営学修士」となり、ビジネススクールは「経営大学院」と訳されます。つまりMBA取得者は経営のプロである人材として考慮されます。

経営に関わる部署は企業にとって大変重要な役割を果たすため、経営の経験がある人材が雇用される場合が多いです。ですがMBA取得者の場合、実際に企業で起こった成功事例や失敗事例を使ったケーススタディを元に実践的な知識を身に付けるため、経験者と同様に即戦力と見なされ、転職に有利に働く場合が多いのです。

また企業側も専門知識を持った人材を適材適所に生かそうとするため、人材と企業側で目的が一致している場合が多く、転職後に「こんなはずじゃなかった……」となりにくいと言えるでしょう。

MBA取得後の年収は?

ハーバード大学ビジネススクールが、2018年度の入学生を対象に就職内定者の見込み給与・手当について行った調査によると、給与はボーナスと合わせて19万米ドルで、日本円にすると約2000万円程度ということが分かりました。

一方、国内のグロービス経営大学院の調査によれば、卒業生のうち63%が入学時よりも収入が増加しており、卒業後5年以上経過した時点の収入は入学時よりも48.3%、卒業後10年以上だと72.6%も増加したという結果が出ています。※卒業時平均年齢は39.6歳。

この増加率をMBA未取得の場合と比較してみましょう。転職・求人情報のdodaが正社員として勤務するサラリーマンに行った「平均年収」の調査では、40歳時点で506万円、45歳時点で526万円、50歳時点で601万円でした。40歳から45歳の年収増加率が約4%、45歳から50歳だと14%なので、MBA取得後の年収増加率がいかに高いか分かるでしょう。

セミナーもある!MBA取得者のキャリア採用に関する情報の集め方

MBA取得者への就職・転職情報は、大学院在学時に学校側より豊富に提供されます。有名校になると企業側からその学校向けにリクルーティングをしたりセミナーを開いたりすることもあります。

また、学生間での情報交換も非常に盛んで、多くの人が卒業後に何かしらの形でMBAを生かそうと考えており、さまざまな活動や考え方を知ることで、それまで思いもよらなかった道が切り開けるといったケースも多々あります。

コンサルタントだけじゃない!MBAの取得が生かせる仕事

(写真=PIXTA)

スタートアップ企業などベンチャー企業における経営・財務部門のスペシャリスト

素晴らしいアイデアをもってビジネスを作り上げているスタートアップ企業。ビジネスが拡大するにつれ、経営や財務、ファイナンスの知識を持った人材が必要になってきます。特に投資資金を募る際など、外部コンサルタントに頼るより自前で専門家が欲しいと考える企業もあるでしょう。

そんな時、経営だけでなく財務、マーケティングと幅広く学んできたMBA取得者が重宝されます。ただスタートアップ企業の場合は外資系金融機関などと比較して初めは給与が少ないかもしれません。

しかし、スタートアップの場合は、株式を与えられたり役員として迎え入れられたりすることも期待できます。企業のビジネスに賛同できるのであれば将来性に掛けてみるのもよいでしょう。

Googleなどアメリカの大手IT系企業

毎年9月から10月にかけてMBAインターンを世界各地で募集するGoogle。インターンとはいえ自分の持つ強みや知識を生かしてGoogleにおける問題解決に取り組みます。

日系の企業に勤めるより社風が自由で、さまざまな国の人と仕事ができるのが魅力。異なる業界における就業経験を持ち、マーケティングからファイナンスまで幅広く学んできたMBAホルダーは、Googleのように事業を多角化し新しい分野にも恐れず参入していく企業にとっても大変貴重です。