MBAは、肩書として強い味方になってくれる学位ですが、そのメリットとデメリットをしっかりと把握し、自身のキャリアと照らし合わせて検討する必要があります。今回はMBAを取得するメリットやデメリットとともに、海外に行くよりも費用が抑えられる国内MBAについても紹介します。

MBAとは?ビジネスにどう生かす?

MBAとは「Master of Business Administration」の略で、日本語では「経営学修士」の学位のことです。MBAを取得するためのビジネススクールは国内外にあり、経営のプロフェッショナルを育てるための教育を行います。MBAを取得する過程では、経営戦略やファイナンス、会計学、マーケティング、情報システムなど、経営を行うための知識を習得できるほか、「クリティカルシンキング」など、経営に不可欠な思考法を学べることも特徴です。

多くのMBA取得者は、コンサルティングや企業の経営戦略部、投資銀行など幅広い分野で活躍しています。

MBAの特徴は?

MBAでは、「ケーススタディ」と言って企業において実際に起こった成功事例や失敗事例を題材とし、意思決定や対処方法など話し合い、学んでいきます。そのため、理論だけではなく現場で使える実践力を養うことができます。

MBA取得が生かせる職業

例えばファイナンスに特化したMBAを取得した場合、金融機関においてアナリストの職や、投資銀行部門で企業買収の提案などを行う仕事に就く場合が多くみられます。またマーケティングの知識を生かして、広告業界やコンサルティング会社に就職する場合もあるでしょう。

なかには、それまでのキャリアや温めてきたアイデアを元に起業する人もいます。

MBAを海外で取得するのと国内で取得する場合の違い

海外のビジネススクールでは、英語で授業を行う場合がほとんどです。そのため英語をしっかりと理解していることが前提となります。

また国内と国外では費用も大きく異なります。例えば、ハーバード大学の経営大学院であるハーバードビジネススクールは卒業するまでに約1,600万円、フランスのインシアードの場合は卒業までの10ヵ月で約1,050万円かかります。一方、例えば早稲田大学なら約370万円で取得が可能です。

取得するなら新卒と社会人どちらが有利?MBAのメリット

(写真=PIXTA)

新卒でも経営に必要なスキルがあると見なされる

新卒でMBA取得を目指すメリットは、若くして経営に必要な専門知識を身につけた人材として見なされ、就職の際に選択肢の幅が広がることです。デメリットとしては職歴がないため、即戦力を求められた場合に希望する職種に就けない可能性があります。

一方、社会人の場合は、仕事をするうえで足りないと感じていた知識を補いながら、MBAでより豊かな学習を行うことができます。また社会人経験の中でやりたいことが明確になっている場合が多く、MBAをその後のキャリアに生かしやすいと言えるでしょう。

人脈ができる

一度会社勤めを始めると、同じ会社や業界の人と知り合うことが多くなり、他業種との交流は少なくなってしまいがちです。MBA取得をきっかけに新たな人脈が生まれ、キャリアの可能性を広げてくれます。

転職に有利に働く場合も

MBAを取得して専門的な知識を身につけることで、本当に自分がやりたかった仕事に就けるチャンスが得られます。転職に限らずとも、MBA取得を機に希望する部署へ異動できる可能性も大いにあるでしょう。

MBA取得のデメリット

費用がかかる

日本でMBAが取得できるスクールに通学する場合、通常1年で100万円から200万円かかります。国立大学の一橋大学でも、1年次は入学金と合わせて約80万円、2年次は学費だけで50万円必要です。また、生活費についても考慮しなければなりません。

時間がかかる

通常MBAの取得には最低でも1年から2年かかります。オンラインや夜間に通学する場合は別ですが、仕事を辞めたり休職したりすることになるため、MBA取得後に得られる効果と見合っているかを十分に検討する必要があります。

学位であり専門知識は身につくが資格ではない

MBAはあくまでも学位なので、取得したからと言って必ずしも何かの仕事に就けるというわけではありません。その点、弁護士や会計士、税理士などの専門資格と異なります。