「一生懸命、頑張っているのに仕事が終わらない」「今日もまた残業か」、サラリーマンの中には、このような毎日を繰り返しては嘆いている人が結構多いのではないだろうか。「時間」に関するテーマは、ビジネス書の中でももっとも売れるネタのひとつとなっている。

「時間をつくること」が仕事の目的になっていないか?

時間がない人が、最初に考えることとは「効率」である。効率とは、使った時間に対してより多くのタスクをこなせることをいう。早い話がスピードのことである。

世の中には、とかく「時間を短縮して、より多くの業務をこなそう」という発想の人が多いが、人間は機械ではないから、それにも自ずと限界がある。もとはといえば、人々が躍起になって時間をつくろうと努力をしているのは、より多くの仕事をこなすことが目的ではないはずである。

本来は、より価値の高い仕事をしたいから時間が欲しいのであって、それはつまり、仕事における「効果」を狙いたいからに他ならない。

求めるべきなのは「効率」より「効果」

それでは、効果とは何なのかというと、具体的には「いかに成果を出すか?」ということである。要は、同じ時間をかけるのであれば、より多くのアウトプットを出すか、より質の高いものを提供するということである。

目標地点に早くたどり着こうとするのは、効率発想である。効率発想の人にありがちなのが、目標に早くたどり着いた場合に、それ以上追いかけるのをやめてしまい、力を温存しようとすることである。

たとえば、あなたも上司などから「今期はもう目標を達成したから、それくらいにしておけ。でないと来期がキツイぞ」というような声がけをされたことはないだろうか。そのような考え方になるのは、効率発想が「スピードを追求する」ことに重点が置かれているからである。

効果発想の場合だとこうはならない。なぜなら、効果とは「時間が増えればその分、出せる成果も多くなる」という考え方だからだ。よって効果発想の場合、早く目標に到達した時はそこで立ち止まるのではなく、新たな目標を設定し、さらに走り続けるのである。