政府が掲げた「働き方改革」の一環として「副業」が広がりつつありますが、現場の社員は副業について、どのように考えているのでしょうか?マクロミルの調査によると、4割以上の人が「今後副業を始めたい」と回答。さらに、副業を禁止する企業は「魅力がない」との回答が8割以上にのぼりました。

正社員の副業ニーズは44%超とかなり高め

インターネットリサーチを手がけるマクロミルが2018年9月、全国1,000人の正社員を対象に実施した調査によれば、「今後副業を始めたい」と答えた人は44.1%となり、副業への意識が進んでいることが分かりました。多くの人が積極的な姿勢を示している背景には、副業を推奨する企業に関する報道が増えていることも影響していそうです。

その一方、「わからない」との回答は26.4%、「副業はしたくない」との回答は29.5%でした。

副業したい目的は“収入”が大多数を占める

「今後副業を始めたい」と答えた人に目的を尋ねたところ、多くの人が“収入”を挙げました。「生活費の足し」が最多で62.7%、次いで「本業の給与が安い」が56.3%、「お小遣い稼ぎ」が53.6%、「貯金」が47.6%、「定年退職や早期リタイア後にある程度の収入を維持するため」が22.6%と、上位5位はすべて金銭的な理由となりました。

収入以外の「スキルアップ」「キャリアの幅を拡大」「人脈拡大」「独立のため」といった回答は少なく、いずれも2割未満にとどまりました。副業はこれまでとは違った知識を得ることや、新たな人間関係を築くことなどに役立ち、キャリア形成の道が開けるといったメリットもあります。とはいえ、実際にそこまで期待している人は少ないようです。

副業を認めている企業は2割に満たず、副業規則がないケースも

同調査では、勤務先の企業が副業を認めているかどうかを尋ねたところ、「申請し、許可が下りれば」が10.3%、「届け出さえ出せば」が6.4%で、合計しても副業を認めている会社は2割以下にとどまっています。

従業員規模別に見た場合、規模が大きい企業では、副業を認めていない傾向が高いことが分かりました。中でも「2,000~5,000人未満」の企業に勤める正社員の65.4%が「(勤務先は)副業を認めていない」と回答し、最多となりました。

反対に、従業員数が少ない企業では、副業規則自体が存在していないことが多いことも判明しました。「50人未満」の企業に勤める正社員のうち、47.2%が「副業に関する規定がない」と回答しており、副業解禁のためには、企業がまず社内規則の整備に着手することが必要といえます。

一般的には、企業が副業に消極的な理由として「長時間・過重労働の助長」や「情報漏えいのリスク」、「人手不足や人材流出」などが挙げられます。上記の回答が示しているように、まだ企業側に副業を認める機運が熟していないことが見て取れます。

ちなみに、「アンケートモニターのみを除く」という条件を設定したうえで、副業経験について確認したところ、34%の人が「副業経験がある」と答えました。