『Woman type』より
ドイツ人女性に学ぶ「豊かさ」のヒント
池原真佐子の日独ワークライフ通信
仕事と子育てを両立しながら日本とドイツの二拠点で生活を送る著者が、ドイツ人女性の働き方や生き方を見て感じたこと、学んだことをお届けしていきます。豊かな人生をつくるワークライフのヒントが見つかるかも!
Woman type読者の皆さん、こんにちは。株式会社MANABICIA代表の池原真佐子です。私は現在、ドイツと東京を行き来しながら、仕事と育児の両立をしています。
連載6回目となる今回は、ドイツの生活から学んだ、「心の立て直し方」についてお話ししたいと思います。
ドイツに来てからもうすぐ1年、日本と行き来しているとはいえ、ドイツの生活にもすっかり慣れてきました。
東京の便利さ、刺激に溢れた生活は魅力的ですが、それと同じく、緑溢れたミュンヘンの、ちょっと不便だけれどものんびりした生活というのも、実はとても奥が深いのだと気付きました。
ドイツ人は歩くことがとにかく好きで、「ドイツ人が言う『ちょっとそこまで』、は徒歩1時間」というジョークもあるくらい、週末になると「公園や森で、ただ歩いているだけの人たち」に沢山出くわします。
それも、健康のためのウォーキング、というよりも、歩くこと自体がレジャーであり、楽しみである、というのです。子どもからお年寄りまで、一人人で、あるいは家族や友人たちと、緑の森の中を歩いています。
少し話は逸れますが、レジリエンス(回復力)という言葉を聞いたことはありますか?
レジリエンスとは、ストレスなどの外的な刺激に対する柔軟性を表す言葉です。ストレスが多い現代において、レジリエンスは、心身ともに健康を保つだけではなく、仕事で成果を出すために必要な要素として注目されています。
私は今まで、仕事でストレスや疲れがたまると、まずマッサージや整体に駆け込み、気分転換にとネイルサロンや美容院、あるいは街へウィンドーショッピングに出掛ける、などをしていました。子どもが生まれる前までは、よく飲み会にも出掛け、憂さ晴らしをしていました。「嫌なことは、他の刺激で忘れる」という作戦です。しかし、どれだけ刺激を重ねても、余計に疲れてしまったり、何だか虚しくなったり……。そんな時も多かったように感じます。
しかし、ドイツに来てからは、緑の中でぼーっとして過ごす、ただ歩く、という機会が増え、そこで「あれ? 何だか最近、イライラしなくなっているかもしれない」と気付いたのです。