メールやSNSの普及により、若い世代ほど電話で連絡を取らなくなってきています。そうしたことから10代から20代の若者の間では、電話でのコミュニケーションに苦手意識を持つ人が増えていると言われています。とはいえ、今でもビジネスシーンにおいて電話応対は重要な業務の一つです。新社会人にとって必須スキルとも言える電話応対時のビジネスマナーを、この機会に改めて学んでみましょう。

電話の受け方のマナーとは?

会社へかかってきた電話を受け、相手の用件を正確に聞くことは大切なビジネススキルです。電話ではお互いの顔が見えないまま会話するため、声や口調で相手に与える印象が大きく変わります。

電話を受けるときは聞き取りにくい声やぶっきらぼうな口調にならないよう、ハキハキと明るく聞き取りやすい口調で話すようにするのがマナー上よいでしょう。。

メモを準備しておこう

電話応対時の聞き忘れを防ぐために、日頃からメモの準備をしておきましょう。電話の近くや自分のデスクなど、手元にメモと筆記用具を置いておくと安心です。

もし電話がかかってきたタイミングで手元にメモがない場合は、「恐れ入りますが、メモいたしますので少々お待ちいただけますでしょうか」など、相手にひと言断ってから準備をしてください。

会社によっては、電話にはなるべく3コール以内で出るなど、社内ルールを定めているところもあります。取り込み中で電話を取るのが遅れたときは「大変お待たせいたしました」などの言葉を添えるとよいでしょう。

外線・内線ともに自分の所属をはっきり名乗る

多くの企業では、複数の外線と内線を併用できる「ビジネスフォン」が導入されています。電話を受けるときは、外線か内線かを確認しましょう。外線電話では、「はい、株式会社○○、○○部(課)です」と会社名と部署名を名乗ります。

内線の場合、社名は省略し「○○部です」と自分の部署名を名乗ることになります。電話口で自分の所属を相手に伝えることはビジネスマナーの基本です。

相手方が電話をかけ間違ってしまった場合など、ちょっとした勘違いやトラブルを事前に防止するためにも有効なので、基本のマナーはしっかり押さえてくださいね。

「お世話になっております」が社会人の定番あいさつ

かかってきた電話を受け、相手方が名乗ったあとには「お世話になっております」と、ひと言添えるのが一般的なビジネスマナーです。

お得意様には「いつもお世話になっております」、初めてのお客様には「お電話ありがとうございます」など、相手方との関係性によって表現を変える場合もあります。

こうした決まりきった表現を使うことは、友達や家族とのプライベートな会話とは異なる習慣かもしれませんが、オフィシャルな場での電話応対ではいきなり本題に入らず、まずは相手にあいさつをしてから用件を聞きましょう。

復唱して情報をより正確なものにしよう

会話が終わったあと、電話を切ったり取り次いだりする前に、かかってきた電話の用件や取次先の担当者の名前などを復唱して確認する習慣を付けておきましょう。これは先方の言い間違いや自分の聞き忘れを防ぎ、情報の精度を上げることが目的です。

電話口では、雑音の多い環境であったり、回線の状況次第ではノイズが入ってしまったりなど、対面で話す環境と比べると聞き取りづらく、行き違いが生じやすくなるため、用件に間違いがないかお互いに再確認する意味でも役立ちます。

自社の担当者の敬称には注意

取引先など外部の人と話すときに自社の人間を呼ぶ際は、上司であっても「さん」などの敬称を略すのがマナーです。外部からの電話を社内の別のスタッフへ取り次ぐ場合は、「○○部の△△に取り次ぎます。少々お待ちください」と担当者の所属や名前を復唱してから電話をつなぎましょう。

用件の緊急度で対応を判断しよう

先方より名指しされた人や適当な担当者が外出中などで社内にいない場合は、まず相手に不在の旨を伝えます。そして、電話を受けた者が用件の緊急度に応じた判断をしなくてはいけません。

例えば、名指しされた人が会議中で離席している場合は、社内のスケジュールやホワイトボードで会議の終了時間をチェックします。そして「○○は15時に戻る予定ですが、お急ぎのご用件ですか?」と相手に用件の緊急度を尋ねましょう。

急ぎの用件の場合は折り返し電話するよう伝え、そうでない場合は担当者へ伝言をするなど、電話口で用件の優先順位を明確にする意識を持つと、よりスムーズに対応できます。

電話をかけるときのビジネスマナー

電話をかける際も、お互いに限られた時間の中で、顔の見えない状態でやり取りすることを意識したコミュニケーションを行いましょう。電話を受けるときと同様に、相手が聞き取りやすい口調で話すことはもちろん、用件をなるべく簡潔に伝えることも大切です。

また、急ぎの用事ではない電話は、用件を伝えたい相手が在社しているタイミングで電話をかけるよう心掛けましょう。始業時間の直後や就業時間の直前、時間外の電話を避けることも社会人らしいマナーです。

用件をまとめたメモを事前に準備しよう

電話をかける前に、まずは先方の基本情報を確認します。先方の電話番号や会社名、所属部署名と氏名の読み方は間違えないように気を付けましょう。さらに、電話で伝えたい用件を箇条書きにしたメモや、必要な資料を揃えてから電話をかける習慣を付けると、焦りやうっかりミスも少なくなります。

電話をかけるときのトークスクリプト

実際に電話をかけるときの手順を追ってみましょう。相手方へ電話をかけるときは、以下のトークスクリプトを参考にしてください。

1.電話を取った人に、自分の会社名、所属、氏名を伝える
例:「株式会社○○の△△担当、□□と申します」

2.「いつもお世話になっております」とあいさつをする

3.用件を伝えたい人の所属と氏名を伝える
例:「○○部の△△課長はいらっしゃいますか?」

4.電話をかけた目的を伝える
例:「○○の件で確認したいことがあり、お電話いたしました」

組織が大きく社員の多い企業では、最初に電話を取る人と担当者の所属部署が違うこともあるので、自分が何者なのか、誰に用事があるのか、用件は何かを明確に伝えることが大切です。電話を取った人が取り次ぎやすいよう情報を整理してください。

担当者に取り次いでもらったら?

担当者へ電話を取り次いでもらったら、基本的に以下の手順で話を進めましょう。

1.「いつもお世話になっております」とあいさつする

2.相手の所属と氏名を確認する
例:「○○部の△△課長でいらっしゃいますか?」

3.自分の社名、所属、氏名を伝える
例:「株式会社○○の△△担当、□□です」

4.相手の都合を尋ねる
例:「今、お時間いただいてもよろしいですか」

5.用件を簡潔に伝える
例:「○○の件で確認したいことがありまして、お電話いたしました」

6.必要なやり取りが終わったら、あいさつをして電話を切る
例:「お時間をいただきありがとうございました。失礼いたします」

会話を終えたあとはいきなり電話を切らず、必ずお礼を述べてから電話を切りましょう。また、「失礼いたします」という常套句は、電話での会話が終了したことを相手に伝える合図にもなります。