社会人としてとして、覚えておきたいのが接待のマナーです。昔に比べると接待の席が減ったとはいうものの、接待の席に参加する機会もあるでしょう。慣れないうちは緊張してしまうこともあるかもしれませんが、基本を理解していれば大丈夫。ゲストに楽しんでもらうための段取りとポイントを予習しておきましょう。

接待マナー ~準備編~

両社の親睦を深め、より良い関係を築くための接待では、おいしい食事や飲み物を楽しむだけでなく、ビジネスの場であることを忘れず、事前準備から計画的に進めましょう。

日程の目安は1ヵ月後

基本的に、1ヵ月後に席を設けるのを目安に接待の日時を調整しましょう。忘新年会や歓送迎会の時期には、さらに余裕をもつと安心です。事前に相手方の都合をヒアリングしたうえで自社の参加者のスケジュールを調整し、複数の候補日を提案します。

週末は、すでに先方の予定が入ってしまっている、人気のお店は予約が埋まりやすいといった場合もあるため、注意が必要です。開始時間は相手側の終業に合わせて、18時~19時頃がいいでしょう。現在では、少し豪華な昼食を楽しむランチ接待も増えているようです。

候補日が決まったら、連絡の行き違いや勘違いがないようにメールで打診をしましょう。自社からは誰が参加するのか、名前・役職、担当者である自分の名前・連絡先も明記して連絡します。

相手に喜ばれるお店選び

新しくお店を探す場合は、立地・予算から絞り込んでいきます。場所は接待相手の会社の近くだと移動の負担をかけないという意味では無難ですが、いつもは行かないエリアで食事をしたいという希望も予想されます。利用する路線や帰宅に便利な地区などを相手にリサーチするといいでしょう。

お店はインターネットの情報や口コミだけでなく、直接下見すると安心です。料理の味や飲み物の種類といったソフト面だけでなく、アクセスのしやすさ、店内の雰囲気、お手洗いの清潔感といったハード面も重要な判断材料になります。またお店側がどんな接客をしているのかも忘れずにチェックしておきましょう。

細かな心配りも大切です。接待相手がビールを取り扱う業種だった場合は、競合するメーカーの商品ではなく、該当する銘柄を置いているかを必ず確認しておきましょう。

予約する場合は接待に利用することを伝え、人数以外に出席者の年齢層や役職、飲食の好みを踏まえた打ち合わせをしておくことで、きめ細やかなサービスを受けることができるでしょう。

お店側にも味方になってもらえれば、接待当日も進行がしやすくなります。利用してみて接待相手からの評価も高く使いやすかった場合には、その後も接待会場候補に入れておくといいでしょう。

お店での席順の確認

店内での席順は、接待相手が上座です。基本的に出入り口から遠い席が上座ですが、お店によっては分かりにくいことも。あらかじめ確認しておくと安心です

人数が多いときや相手が次々に席に着いてしまったときなど、予定どおりの座席に案内できないこともありますが、席順に変更があったことをお店に伝え、料理をサーブする順番を変えてもらうようにしましょう。

先方にお店を連絡する

無事にお店が決まったら、接待相手に連絡をします。間違いがないようにメールで、店名・住所・電話番号などの必要な情報を送りましょう。お店のHPまたは掲載グルメサイトのURLも添え、その中の地図が正しいかどうかも確認を。駅からの道順や近くにある目印となる建物なども添えるといいでしょう。

さらに「料亭には珍しくソムリエ在籍のお店です」など、相手の興味を引くような一言もあると、なお喜ばれます。

印象に残る手土産選び

多忙な中で時間を作ってくれた先方への感謝の気持ちとして、手土産を用意しましょう。無難なのはデパートで取り扱っているお菓子ですが、より印象を残したいなら自分の郷土の銘菓をチョイスすると話題にもしやすくなります。なるべく日持ちのする、常温で保存できるものを選びましょう。

接待マナー ~当日編~

いよいよ接待当日。これまでの準備を再確認しながらシミュレーションしておきましょう。携帯電話の充電や名刺など、持ち物も今一度チェックを。

相手にリマインド

朝のうちに電話またはメールで、先方に挨拶を兼ね確認をしておきましょう。メールには時間・場所・自分の連絡先を改めて明記しておくと親切です。

お店に着くタイミング

お店の担当者との最終確認もあるため、20~30分前には着いておくようにしましょう。予約した内容に変更はないか、座席は問題ないかなど一つひとつチェックを。気になる点があればこのときに解決しておきます。席からお手洗いへの導線も把握しておきましょう。

出迎えは必ず行う

こちら側の担当者または全員で、予定時間の5~10分前にはお店または建物の前に立って出迎えましょう。遅れそう、場所がわからないといった緊急連絡が入ることも考えられるため、携帯電話は必ず持って着信にすぐ気付けるようにしておきます。

チームで役割分担を

接待する側の末席が注文をまとめるとスムーズです。人数が多い場合には、もう一人と連携するといいでしょう。飲み物の残量は十分か、次の料理をオーダーしたほうがいいかなど常に目を配ります。

とはいえ、あまりに気負いすぎるとピリピリした雰囲気になりがち。慣れていないうちは先輩にフォローしてもらいながら、乗り切っていきましょう。

接待の場で重要な会話

接待の席では楽しく会話をしたいものです。まずは天候や大きな時事ネタなど、無難な話題から始めるのが基本です。食事が始まったら、今現在の共通の話題である料理や飲み物の話をするのもいいでしょう。相手が日本酒を飲んでいたら銘柄について尋ねる、変わった料理の場合は食材を店員さんに尋ねるといったバリエーションも。

相手方の会社の情報や個人の趣味など、事前に調べていた情報を元に話を広げると話が弾みやすくなります。ただし、ビジネスの話は内容とタイミングの見極めが難しいところです。込み入った話は避けるのが無難でしょう。

また宗教や政治の話は、考え方に大きな隔たりがある場合、先方が不快になるだけでなく、口論にもなりやすいテーマなので酒席ではタブーです。ほかプロ野球やサッカーなどスポーツの話も、相手側全員のひいきチームが判明していない限りは避けるようにしましょう。

覚えておきたい食事中の気遣い

会食が始まってから気を付けたいのが、相手の飲食のペースです。料理をベストな状態で楽しんでもらうために、食事の進み具合を見ながらオーダーのタイミングを調整します。飲み物が残り少なくなってきたら、ドリンクメニューを手渡すなどの気を配りましょう。

そのほか、手や口周りが汚れるような料理の際には追加のおしぼりを店員さんに頼む、アルコール度数の高いお酒を注文したら一緒に水も持ってきてもらう、食事後半には人数分のお茶で一息入れるなど、快適に過ごすための黒子役をこなしていきます。

会計は素早くさりげなく

席を予約している時間の終わりが近づいてきたら、相手に見えないところで会計を済ませましょう。コース料理の場合でも、あまりに会計のタイミングが早いと、追加の飲み物を注文した場合などに金額が変わってしまうため注意が必要です。

クレジットカードだとスムーズですが、接待は基本的に経費のため会社の方針に合わせます。領収書も忘れずに受け取りましょう。5万円以上の支払いを現金で行う場合は、領収書に収入印紙が貼られているかその場で確認しましょう。