ビジネス書は社会人になってから読めばいい……そう思っている人も多いかもしれません。しかし社会人になると、思った以上にゆっくりと本を読む時間を作ることが難しくなりがちです。そこで大学時代の時間があるうちにさまざまなビジネス書を読んで知識を蓄えておけば、就職後に即実践することが期待できますよ!今回はたくさんあるビジネス書のなかから選りすぐりの4冊を紹介します。

1『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

一見するとライトノベルのようなタイトル・表紙の通称“もしドラ”は、小説形式で楽しみながらマネジメントについて勉強することができる格好の入門書です。漫画やテレビアニメ、映画としても作品化されているので書籍以外を入り口にしてもよいかもしれません。

タイトルにも含まれているドラッカー(ピーター・F・ドラッカー)はオーストリアの経営学者です。彼は主著『マネジメント』で全体主義的な手法に疑義を呈し、自律した組織の重要性について論じました。何を隠そう現代経営学、すなわちマネジメントの発明者としても知られています。そんな偉大なる人物の書籍を野球部のマネージャーを務める女子高生が偶然にも手に取る……という物語は、一見奇妙に思えるかもしれません。

しかし高校生の視点でマネジメントへの理解を深めていくことができるため、まったく知識がなくても気軽に読み進めていくことができます。経営学専門ではない大学生にとってはうってつけの本と言えるでしょう。

【商品情報】
書籍名:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
著者:岩崎夏海
出版:ダイヤモンド社
価格:1,600円(税別)

2『さよなら未来-エディターズ・クロニクル2010-2017』

ビジネスをはじめテクノロジーやカルチャーについて、ジャーナリスティックな視点から取り上げる雑誌『WIRED』の日本版編集長を務めた若林恵(わかばやしけい)のテキストを収録した単行本が『さよなら未来-エディターズ・クロニクル2010-2017』です。

常に最前線の情報に触れ続けてきた著者だけあってUber EatsやAirbnb、仮想通貨など新しいビジネスのあり方について、リアルタイムにつづってきた記事が本書には豊富に収められています。

また多ジャンルにわたる広い視野からお金の話を掘り下げている点も魅力の一つです。「ビジネスはまだ関係ない」と思っている大学生でも本書を読むことで、自分の専門分野や趣味がいかにお金の流れとかかわっているのかが分かります。またテクノロジーとカルチャーを総合的に把握する著者ならではの視点は、「新しいビジネスチャンスを見つけるためにはどうしたらよいか」という問いにも答えてくれるでしょう。

【商品情報】
書籍名:さよなら未来-エディターズ・クロニクル2010-2017
著者:若林恵
出版:岩波書店
価格:2,200円(税別)

3『芸術起業論』

現代アート作家として、世界的に活躍する村上隆による異色のビジネス書が『芸術起業論』です。もしもあなたがアートとビジネスは無関係だと考えているとしたら、すぐにでも手に取るべき本の1冊と言えます。

アートの世界では「とにかく質の高い作品を作ることが重要だ」と思っている人もいるかもしれません。しかし著者のアート作品が1作品億円単位で取引されていることからも分かるように、アートの世界はビジネスと切っても切れない関係で結ばれているのです。

2008年にはアメリカのサザビーズオークションで村上隆作のフィギュア「マイロンサムカウボーイ」が約17億円で落札されました。アーティストとして成功するためには、世界を視野に入れたブランド化の戦略が必要だと著者は説きます。

本書で提示される方法の数々は、あくまでもアーティストとしての著者の経験に根ざしたものであるものの、ビジネスの世界でも十分に応用可能な戦略だと言えるでしょう。

【商品情報】
書籍名:芸術起業論
著者:村上隆
出版:幻冬舎
価格:1,600円(税別)