「後輩にやる気がないのが、すごく気になる」。人に指導する立場になると、この悩みに直面する機会が必ずといっていいほどやってきます。自分自身のモチベーションを高める以上に、人の気持ちを高めるのは難しいもの。人の気持ちを動かしたい、モチベーションを高めたい、そんなときはどういった伝え方が良いのでしょうか?

組織の願望は、個人の目標にすり替える

「会社の売上のために、もっとこうしてほしい」
「しっかりとやる気を出してほしい」
自分が後輩に指導を行う立場になると、こういった悩みに直面する機会が必ずといっていいほどやってきます。

使命感を持て、責任感を持てと言いながらも、経験値や年齢で収入が変わるのが日本の企業。新卒で急に入ってきたメンバーにいきなり「仕事にプライドを」というのはなかなか難しいものがあります。
ただただ「やる気を出せ」と繰り返しても、後輩の気持ちは離れるだけ。人のやる気を、モチベーションを高めるためにはどうすれば良いのでしょう?

「売り上げを伸ばしたい」=「給料を高くしたい」

「もっと売れ」、「もっとやる気を出して」。
こんなことを言い続けても、全くもって人の心は動きません。だって、私たちは女王バチ(企業)のために働く、働きアリとして生まれてはいないのですから。
終身雇用もなくなった今、自分が行うべき業務と企業が求めることが違えば「転職」という手段を持って仕事に挑んでいる人も多いのが実情でしょう。

ですが、私たちはとても単純です。自分が評価されれば嬉しいし、評価が認められなかったら悲しい、憤りを感じます。企業では、その評価=賃金に反映されますよね。企業の利益によって、個人への配当も変わります。人に何かを伝える時、人の気持ちを動かしたいときには、相手の気持ちに立って物事を考える姿勢が必要です。「もっと売上を伸ばしたいんだ」ではなく、「売上が上がれば、給料もあがるよ」というように、相手にとっての利点を伝えるべきなのです。
これが組織の目標を、個人の目標にすり替える、ということです。

クラウドファンディングの仕組みは「共感」

あなたは、クラウドファンディングというツールを知っているでしょうか?
これは、一般的に行われる企業や銀行、投資家などを通じた資金調達とは違っていて、個人でもインターネット上で資金集めができる、とても画期的なサービスです。

クラウドファンディングとは、「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題を、こんなふうに解決したい」といったアイデアやプロジェクトを持つ起案者が、専用のインターネットサイトを通じて、世の中に呼びかけ共感した人から広く資金を集める方法です。

出典: https://a-port.asahi.com

クラウドには『crowd(群衆)』、ファンドには『fund(資金)』といった意味を含みます。クラウドファンディングでは、起案者の発案に共感した人々が、寄付のような形で資金を提供することができるのです(正確には寄付型、投資型、購入型、などのパターンがある)。

「こんなモノ・サービスを作りたい、なぜなら…」とインターネットサイト上でアピールすることで、より多くの「応援したい!」という気持ちを集めることができます。クラウドファンディングで、資金を集めるためには、この「共感」が必要不可欠なのです。これは、クラウドファンディングだけに限りません。人の気持ちを動かしたい時には、相手に共感を持ってもらえるような、伝え方を心掛けることが大切です。

共感を得られれば、ブラック企業とは言われない

誰もが知っているような、有名なアニメ制作会社のように、企業の認知度や仕事量と、給料が見合っていない職業もたくさんあります。

だけどそこで働く人々は、笑顔で楽しそうに仕事をしています。ひとつのアニメーションを作り上げることが楽しいから、単純に好きだから、いつかは自分でアニメを作りたいから、と忙しい業務を「夢を叶えるための手段」だと思っているから、給料は最低限で良いというのです。経験を価値だと捉える人にとっても、共感はとても大切なのです。