少子化対策や働き方改革が大きな課題となっている中、男性の育休取得率は厚生労働省の2018年度調査で6.16%(2017年度5.14%)と、十分に浸透しているとは言えません。一方で、ユニセフの2016年調査によると父親が取得可能な育児休業制度で日本は1位を獲得しているという明るい話もあります。制度は充実していても、男性の育休は不安も多く、利用する人が少ないのが現状のようです。

男性の育休は収入の不安に直結

子どもが1歳になるまで(条件により2歳まで)取ることができる育休は女性だけでなく男性にも同じ権利が保証されていますが、収入面での不安から、男性が育休に踏み出せないという夫婦もいるかもしれません。

育休中のお金の不安を解消してくれる制度

育休を取得することで、実質収入が減ることは事実です。子どもが生まれたばかりで何かとお金がかかる時なので、余計に不安は大きいでしょう。そんな不安を払拭するために、雇用保険加入を条件とした「育児休業給付金」という制度があります。

育児休業給付金でいくらもらえるの?

育児休業給付金は、主に下記のような要件を満たすことで給付されます。

  • 勤務先から育休開始前の1カ月あたりの賃金の8割以上の給与が支払われていないこと
  • 仕事をしている日数が1カ月ごとに10日以下であること 育休中にもらえる給付金の金額は、基本的には「休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(6カ月経過後は50%)」で算出されますが、勤務先から賃金の支給がある場合は金額によって割合が変わります。

    育休中の給付金は非課税である

    支給額が67%と聞くと「今までの生活水準を保てるのか」「育休をどのくらいの期間取るのがよいのか」などの不安も残るでしょう。しかし、重要なのはこの給付金が非課税であるという点です。

    つまり、育児休業給付金として支給された額は源泉徴収されずにそのまま全額受けとることができ、所得扱いになりません。収入が減ることで夫の扶養に入れる可能性もあるでしょう。育休の期間について悩んだら、社会保険料が免除になる制度があることなどを踏まえ、家計全体で収支を考えてみてはいかがでしょうか。

    育休中の社会保険料免除制度

    育休中は健康保険・厚生年金保険料が免除になります。さらに、育休中に勤務先から給与が支払われていない場合に限り、雇用保険料も免除になります。

    通常、社会保険料は、通常従業員と事業主が折半して払いますが、従業員の育休中はは事業主の支払い分についても免除になるため企業にとってもうれしい制度です。

    いくら免除になる?

    通常、会社勤めの場合、社会保険料は毎月の給与から天引きされます。金額は給与明細で確認できますが、具体的に料率で内訳をみると次のようになります。

    加入者が多い協会けんぽ(全国健康保険協会)は都道府県によって料率が違います。ちなみに東京都の場合、2019年度の保険料率は標準報酬月額の9.9%です。

    厚生年金保険料については2017年9月から、標準報酬月額の9.15%(事業主と合わせると18.3%)で固定されています。

    雇用保険料率は2019年度分で、標準報酬月額の0.3%となっています。

    つまり、上記の3つを合わせると、毎月19.35%が社会保険料として給与から天引きされていて、育休中はこれが免除になります。

    手続はどうすればよい?

    社会保険料免除の申請は、この制度を利用したい人が会社に申し出をして、事業主が日本年金機構に申請書を提出するという流れになっています。女性の場合、産前産後休業期間中も社会保険料は免除されるので、出産の予定が決まったら勤務先に制度利用の意向を伝えておきましょう。