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2019/08/21

相続ルール、大激変!「配偶者居住権」とは?

(写真=ju_see/Shutterstock.com)
(写真=ju_see/Shutterstock.com)
相続の基本的なルールは、民法の相続法で定められています。相続法が最後に改正されたのは1980年です。改正当時と現在では高齢化が進むなど社会環境が大きく変化し、当時の相続法では支障が生じることもあるため、2018年7月に新たに改正されました。この改正は、私達にどのように関わってくる可能性があるのでしょうか。

配偶者居住権

相続の対象となる財産は、被相続人(亡くなった人)が所有していたもの全てです。被相続人以外の人が住んでいる住居であっても、被相続人の名義であった場合は相続の対象です。そのため、住んでいる人が住居を失うこともあります。住んでいる人が配偶者であっても例外ではありません。

例えば、相続人が妻と長女の2名で、被相続人の財産が3,000万円の住居と1,000万円の預金の合計4,000万円である事例で考えてみましょう。相続財産は、相続人全員が納得していればどのように分割しても自由です。トラブルになった場合には、相続法に従って配偶者と長女がそれぞれ1/2ずつ、2,000万円を取得することとなります。

仮にこの事例でトラブルになった場合、大きく2つの方法があります。1つ目は、住居を売却して相続財産を現金化し、現金で2,000万円ずつ取得する方法です。妻は住居を失います。2つ目は、妻が住居を相続するかわりに長女に1,000万円を支払い、それぞれが2,000万円相当を相続する方法です。この場合、妻が1,000万円を所有していなければ成立しません。また、妻の手元に住居は残っても、その後の妻の生活費が不足する可能性があります。

どちらの方法も妻が困窮する可能性があります。そこで、夫や妻に先立たれて残された配偶者は、それまで居住していた住居に引き続き住めるように改正されました。住居の価値は、所有する権利である所有権と、住む権利である居住権の2つから構成されているものとし、配偶者は居住権を優先的に得られるようになりました。

配偶者が居住権を取得し、その他の相続人が所有権を取得することで、配偶者は住居に住み続けながらその他の財産を取得できるようになりました。

遺言制度の見直し

前述の事例において、トラブルを防ぐ方法があります。被相続人があらかじめ遺言を作成し、妻に住居を相続させることを明記しておく方法です。遺言には、公証役場に行って公証人に作成してもらう公正証書遺言と、自分で作成する自筆証書遺言などがあります。

公正証書遺言は、証人が必要であったり作成費用がかかったりします。相続財産がさほどない場合、作成費用などが負担になり利用しにくいという欠点があります。自筆証書遺言には作成費用がかからないものの、財産目録も含めて遺言書の全てを手書きしなくてはならないルールがあります。そのため、特に高齢者が自筆証書遺言を作成する場合、作成者に大きな負担がかかります。

そこで、自筆証書遺言を作成しやすくするために遺言制度が改正されました。財産目録はパソコンで作成したり通帳のコピーを添付したりすることが可能になりました。よって親族などが手伝うことも可能です。パソコンで作成した財産目録や通帳のコピーには、遺言者の署名押印が必要なので偽造を防ぐこともできます。遺言がより作成しやすい制度に改正されました。
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