会社員や公務員が加入している厚生年金は老後の大事な収入となります。この厚生年金に扶養という制度があることをご存じでしょうか?

扶養制度を上手に利用すると家計改善に役立ちますが、その制度はちょっとだけ複雑で難しいものになっています。

今回の記事では分かりにくい厚生年金の扶養制度について、できるだけ分かりやすくまとめます。家計改善の助けになると思いますので参考にしてみてください。

厚生年金の扶養って何?

まずは厚生年金の扶養の概要を簡単に確認しましょう。

扶養される方の年金保険料負担がゼロに

通常は誰もが何らかの公的年金に加入し、その保険料を支払わないといけません。厚生年金の扶養制度を利用すると、扶養される方の年金保険料は免除されます。

扶養する方の保険料はそのままです。「扶養する方ではなく、扶養される方に恩恵がある」ということに注意してください。世帯の支出を減らすと考えると良いでしょう。

保険料負担ゼロでも老後の年金の一部を受け取れる

ここまでで、「年金保険料を支払わないと老後の年金がないのでは?」と思われた方もいるかもしれません。でも大丈夫です。老後の年金は扶養される方にも用意されています。

厚生年金の扶養制度で保険料支払いが免除された方は、老齢基礎年金の受け取りがあります。これは自営業者などが加入している国民年金の老後年金で、最も基本的な年金です。2018年の満額は年間77万9300円でした。

会社員などの年金である厚生年金と比べると受け取れる金額は少ないですが、そもそも保険料負担はゼロなので、お得でしょう。

厚生年金で扶養に入れる条件

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

厚生年金の扶養制度を利用するには、一定の条件を満たす必要があります。

扶養する側が会社員か公務員でないとダメ

扶養制度が用意されているのは会社員や公務員が加入している厚生年金だけです。自営業者などが加入する国民年金にはこの制度はないので、扶養する方が会社員か公務員でないといけません。

生計を一(いつ)にする

扶養制度を利用するには、扶養する方とされる方が「生計を一(いつ)にする」ことが必要です。これは同居していなくとも、生活費を共有していれば大丈夫です。

転勤などで扶養する方とされる方が同居できなくなったとしても、仕送りなどで生活費を共有していれば制度を利用することができる可能性があります。

扶養に入る方の年収が一定以下

扶養に入る方の年収が一定以上あると扶養制度は利用できません。細かいルールがありますが、基本的には扶養される方の年収が130万円以下(額面)であることが必要です。

なお、扶養される方がパートなどで働いている場合、パート先の企業規模や雇用条件によっては扶養される方自身が厚生年金の加入者になる可能性があります。その場合、扶養からは外れますので注意してください。