自分が生まれたふるさとや、応援したい自治体に寄付ができるふるさと納税。毎年、時期になると地域の名産品などのお礼の品ばかりが話題になりますが、寄付金は手続きをすると所得税や住民税の還付・控除が受けられます。所得税の還付金は所得や家族構成によって異なるので、アラフォーの皆さんのケース別に計算方法と還付モデルをご紹介します。
所得税控除の上限額は年収、家族構成で異なる
ふるさと納税の寄付金額の上限は、年収や家族構成によって異なります。「自分ならいくらになるのか」は、ふるさと納税の各サイトで簡単にシミュレーションすることができますよ。シミュレーションの際に源泉徴収票や確定申告表の控えを手元に準備しておくと、詳細なシミュレーションが可能です。具体的な金額を知りたい場合は、準備してからシミュレーションしてみましょう。
実は、ふるさと納税の控除できる寄付金額の上限は、2015年度よりそれまでの約2倍に拡充されています。上手に利用したいですよね。
アラフォー独身貴族女子の還付モデル
実際の控除額上限は、ふるさと納税を行う人の年収、所得、控除によって決まります。ふるさと納税の各サイトでできるシミュレーションは、あくまで目安にする金額として考えておくことが大切です。
例えば、扶養家族の人数、寡婦控除、障がい者控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCoの掛金)、生命保険料控除、地震保険料控除等を考慮に入れることで上限額が変わります。
私が試算したアラフォーで独身の皆さんの還付・控除額は、ケース別にこのようになりました。
ケース1
年収450万円、両親と同居している人の場合:56,367円
ケース2
年収500万円、住宅ローンを払っている人の場合:65,491円
ケース3
年収550万円、同居の母親を扶養している人の場合:63,336円
控除上限額内の寄付であれば、合計額から2,000円を引いた金額が所得税・住民税から還付・控除を受けられます。
注意しておきたいのが、寄付を行う事で課税される総所得金額が少なくなり、所得税率が変わる可能性。総所得金額が少なくなるので、控除額上限額が低くなってしまいます。
こうなると、上限額を超えた寄付金額は単なる寄付金としての扱いになり、一部しか控除されません。控除されるはずの寄付金が単なる自己負担額になってしまう可能性があるのです。
確定申告が面倒くさいならワンストップ特例制度を利用しよう
ふるさと納税の還付・控除を受けるには、寄付をするだけではなく「確定申告」または「ワンストップ特例」の申請が必要です。
確定申告といっても馴染みのない人にとってはハードルが高いもの。「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は、2015年度より創設された「確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄付金控除を受けられる」制度です。これを利用する方法は、寄付を申し込む際、申請書の送付を希望するという欄にチェックを入れておくだけ。
後日、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」が自治体から送られてきます。必要事項を記入して郵送すると手続きが完了です。上限額内の寄付金額から2,000円を引いた金額は、住民税から全額控除してもらえます。
ただし、ワンストップ特例制度を利用するには以下の条件を満たす必要があります。
条件① 確定申告をする必要がない給与所得者であること。
確定申告が必要な年収が2,000万円を超える人や、医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告が必要な人は寄付金控除の申請を行います。
条件② 1年間に寄付を行った自治体が5自治体以内であること。
ひとつの自治体に複数回寄付を行っても、その他の4つの自治体に寄付をすることができます。5自治体を超えて寄付を行なった場合は、超えた自治体分だけでなく、寄付したすべての自治体の確定申告が必要です。
条件③ 寄付を申し込むたびに自治体に申請書を郵送する。
同じ自治体に複数回申し込んだ場合は、その都度申請書を提出する必要があります。
ちなみに、今年分の申請書は2019年1月10日までに自治体へ郵送する必要があります。間に合わなかった場合は確定申告です。
還付時期の確認は国税還付金振込通知書で
気になる還付時期ですが、ワンストップ特例制度を利用した場合は、全額が次年度の住民税から控除されます。
住民税の控除は、控除額が口座に振り込まれるのではなく、次年度の住民税の減額です。会社員の場合は、翌年6月に控除後の金額が記載された住民税決定通知書が、勤務先から手渡されることになります。
また、ふるさと納税をした翌年の3月15日までに確定申告を行うと、1~2ヵ月後に申請した口座に所得税の還付金が振り込まれます。国税還付金振込通知書が税務署から郵送されますので、還付時期と金額を確認しましょう。
ふるさと納税で賢い節税ライフを
都会へ出てきて暮らす人なら誰でも、ふるさとに恩返ししたいという想いがあるのではないでしょうか。生まれ育ったふるさとや以前住んだことがある市町村、旅行したことがある土地などを応援することはふるさと納税の理念にかなっています。
さらに、「寄付をしよう」と考え、自治体のことを調べることが各自治体の取り組みに触れるきっかけにもなります。控除以外にも特産品のお礼などの特典もありますし、ふるさと納税には積極的に取り組みたいですね。
文・藤原 洋子(ファイナンシャル・プランナー)
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