新型コロナウイルスの大流行により、2020年の2~3月にかけて株価は急落しました。しかしその後は、意外なことに上昇傾向にあります。ではなぜ、コロナ流行による不況下でも、株価は上昇しているのでしょうか?そこでこの記事では、新型コロナウイルスにより株価が上昇した理由を検証します。

新型コロナウイルスの影響による株価の推移

(画像提供:yu-photo/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスの流行により、2020年2月下旬から3月下旬にかけて、日本のみならず世界中で株価の急落が見られました。

たとえば、日経平均株価を見てみると、2月10日時点での終値は2万3,685円98銭でしたが、3月19日には終値が1万6,552円83銭まで急落しました。

また、アメリカ合衆国の代表的な株価指数であるダウ平均株価も同様に、2月10日時点は2万9,276ドル82セントでしたが、3月19日には終値が2万87ドル19セントまで急落しました。

ところが4月以降、新型コロナウイルスの感染者が増加しているにも関わらず、株価はほぼ右肩上がりに上昇しています。一時は1万6,500円台まで下落した日経平均は、11月17日には年初来高値(2020年11月19日時点)となる2万6,057円30銭まで上昇しています。

ダウ平均も同様に、11月16日時点で2万9,950ドル44セントまで上昇しており、過去最高値を記録しました。

株価が堅調な理由

(画像提供:tamayura39/stock.adobe.com)

上記でお伝えしたように、日米ともに2~3月で一度は株価が下落したものの、その後は堅調に株価が上昇しています。新型コロナウイルスによる不況下で株価が上昇した理由はさまざまにあると言われていますが、有力な説の1つが「巣ごもり系の銘柄の需要増加」です。

巣ごもり系の銘柄とは、外出せずに家でも楽しめるようなサービスを提供する企業の銘柄を意味します。ネット通販、宅配、動画配信、スマホゲーム機、家庭用ゲーム機などを手がける企業がそれに当たります。

新型コロナウイルスの流行により、外出自粛やソーシャルディスタンスの確保が叫ばれるようになりました。その影響で、外出や人との接触を避けながら利用できるサービス(ネット通販や宅配、動画配信など)の需要が増加し、結果的に巣ごもり系銘柄に買いが入り堅調に株価が上昇したわけです。

たとえば宅配ポータルサイトを運営する「出前館」は、外出自粛による宅配需要の高まりを受けて、3月13日時点で557円だった終値は、10月16日には終値が3,725円まで上昇しました。

一方でアメリカを見渡すと、オンライン会議ツールZoomを提供する「Zoom Video Communications, Inc」の株価(NASDAQ)が、リモートワークの世界的な普及にともない、2月6日時点(終値)での87ドル26セントから、10月19日時点で568ドル34セントまで上昇しました。

こうした実際の値動きからも、巣ごもり系銘柄の需要増加が全体的な株価を上向きに引っ張った可能性を理解できるでしょう。