デビットカードは、取引直後に預金口座から支払い金額を引き落とす決済サービスです。では、デビットカードを使用した際、口座にお金がなかったら?この記事ではデビットカードの基本や種類を詳しく説明し、即時決済を行うデビットカードを口座残高が不足の状態で使い、後払いができるかという疑問を解消します。デビットカードの利用を検討している人はチェックしてみてくださいね。

デビットカードの種類と基本的な使い方

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普段、おもにクレジットカードを使っていて、デビットカードの仕組みは知らないという人がいるかもしれません。まず、デビットカードの種類や支払い方法など基本的なことを解説します。

キャッシュカードをデビットカードとして使用するJ-Debit

デビットカードには大きく分けて2種類あります。1つは金融機関が発行しているキャッシュカードをデビットカードとして使用するJ-Debit(ジェイデビット)です。

J-Debitは、買い物や食事の支払いのほかに、キャッシュアウトサービスが可能です。このサービスは近くにATMがない場合、店舗で現金を引き出すことができるというもの。また、店舗が発行したプリペイドカードへのチャージも可能です。

デビットカードの普及を図っている日本電子決済推進機構の公式ホームページには、2020年11月時点で国内56万ヵ所以上の加盟店舗などで使用できると記載されています。しかし、大手コンビニエンスストアなどではJ-Debitは利用できず、日本のみのサービスなので海外でも利用できません。

国際デビットなら海外旅行でも活躍!

もう1つのデビットカードは、国際ブランド(世界中で利用できるクレジットカード会社)が発行しているカードです。デビットカードは基本的に加盟店であれば使用できるため、JCBやVISAなど世界各国・地域に加盟店があるブランドなら、ほぼ世界中で使用可能となります。

また、国際ブランド発行のデビットカードは、提携するATMを使い現地通貨を引き出すことができるので、現金が必要になったときにも役立ちます。

デビットカードは一括払いのみ!

デビットカードは一括払いのみで分割払いやリボ払いには対応していないため、基本的に後払いはできません。そのため、現金での支払いに近い感覚で利用できるキャッシュレスサービスであることが魅力です。

また、クレジットカードでは、分割して支払った場合などに別途手数料がかかることもありますが、デビットカードは支払い方法に対しての手数料は必要ありません。

デビットカードには、発行会社によってクレジットカードと同じように利用額に応じてキャッシュバックやポイントが付いたりするサービスがあり、現金で支払うよりもお得になることがあります。

利用限度額=口座残高

後払いのため、口座残高にかかわらず利用できるクレジットカードは便利な場合もありますが、自分の支払い能力を超えてカードを利用すると支払いに困ることもあるでしょう。基本的に、デビットカードの利用限度額は利用時に口座に入っている金額となり、口座残高以上に使用することはできません。

デビットカードを使用すると、すぐにお金が口座から引き落とされますが、1日分や1回分の利用限度額を設けているカードもあります。また、加盟店側で利用制限を設けている場合もあるため、デビットカード使用前には利用条件の確認が大切です。

クレジットカードと比較したデビットカードのメリットは

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現金以外の支払い方法としてクレジットカードの利用がありますが、デビットカードで支払うこととの違いは何でしょうか?2つのカードを比較して、デビットカードのメリットを確かめましょう。

使い過ぎを防止することができる

クレジットカードの利用限度額は、ユーザーが支払い可能である見込みの金額をショッピング枠やキャッシング枠としてカード会社が設定する与信枠です。与信枠はカード会社が設定するため、カードを利用した時点で口座残高がなくても、カード会社からの融資という形でカードでの支払い可能になります。

一方、デビットカードの利用限度額は基本的に引き落とし口座の残高まで。また、利用限度額を自分のライフスタイルに合わせて決められるカードもあるので、デビットカードを使うとお金を使い過ぎなくて済むことがメリットと言えるでしょう。

審査なしで発行できる

クレジットカードは、利用者が店舗などに支払うお金をカード会社が一時的に立て替え、そのお金を後日利用者から返済してもらうことで成り立っています。そのため、カード会社にとって大切なのは、利用者がきちんと返済してくれるかどうか、その信用度だと言ってよいでしょう。

そのためクレジットカードは申し込み時に審査を行い、その結果によって利用限度額を決定します。一方で、デビットカードは即時決済で利用限度額はカード会社が決めるものではないため、原則として審査なしでカードの発行が可能です。

また、デビットカードは普通預金の口座を持つ人なら所有できることが魅力のひとつ。一般的に18歳以上でなければ申し込めないクレジットカードと違い、15歳以上(中学生は不可)でも申し込める国際ブランドのカードや、年齢制限がないJ-Debitカードなどがあります。

お金の管理がしやすい

デビットカードは、使用すると時間を空けずお金が引き落とされ、引き落とし口座の通帳にはお店での使用履歴がその都度、印字されます。クレジットカードの使用後に通帳へ印字されるのは、引き落とし日とカード会社名、一定の期間使用した合計金額です。引き落とされた金額がまとめて表示されるため、後日、何に使ったお金か分からないということが起こりやすくなります。

デビットカードなら、お金の使用履歴をこまめに記録できるため後日確認をしても分かりやすく、支出の管理がしやすいでしょう。

クレジットカードと比較したデビットカードの注意点は?

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デビットカードはメリットが多い反面、注意したい点もあります。スムーズにデビットカードを活用するには、不便な点もいくつか知っておくとよいでしょう。分かりやすいように、クレジットカードと比較しながらご紹介します。

クレジットカードよりも利用範囲が狭い

デビットカードは、クレジットカードよりも利用範囲が狭い傾向にあります。デビットカードが使えないケースの1つが、高速道路などの有料道路で利用することが多いETCです。

ETCは料金所ゲートの渋滞を緩和するため、円滑に料金所を通過できるように作られたシステムです。多くの場合、通行料はクレジットカードに紐付けられたETCカードで支払います。残高不足でカードが使えず停車することがないように、与信枠のあるカードが必須となっており、デビットカードではETCカードが発行できないことが多いようです。

また、クレジットカードは、公共料金などを毎月自動で引き落とせる場合が多くありますが、一部のデビットカードではできないケースがあります。デビットカードで公共料金を支払いたい場合、自分のカードが対応しているかカード会社に確認する必要があります。

デビットカードは、クレジットカードと全く同じようには使えないため、全ての支払いをデビットカードにすることは難しいかもしれません。

支払い方法を選択できない

デビットカードの支払い方法は、即時口座引き落としの一括払いのみ。クレジットカードのように、ボーナス時などの収入の多いときにまとめて支払うなど、自分の都合に合わせた支払い方法は選べません。口座にある額以上の大きな買い物をするときは使用しにくいとも言えます。

しかし、預金口座に多くのお金が入っているのなら、デビットカードはクレジットカード以上の利用限度額になることもあります。クレジットカードの限度額が低く設定されている場合で、なおかつ1回に大金を使う必要があるときは、口座残高まで使えるデビットカードのほうが使いやすいでしょう。