寄附金控除というと近年では多くのCMでも見かけるふるさと納税が大人気ですが、控除の対象となる寄附金はほかにもあることを知っていますか?災害時などに医療支援で活躍している日本赤十字社への寄附など、今回は寄附金控除の対象について解説します。

寄附金控除ってなに?

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寄附金控除とは、国や地方自治体、公益的な活動をしている法人などへ寄附した場合に受けられる所得控除のことです。支出した寄附金は特定寄附金と呼ばれ、確定申告することで課税額が抑えられたり、税金が還付されたりする場合もあります。

個人で見た場合、寄附金控除は控除の対象となる特定の法人や団体などに寄附した人で、所得税を納めている人が対象です。つまり年収を103万円以下に抑えているアルバイトやパート、専業主婦は所得税が発生しないため、特定の団体に寄附しても控除は受けられません(ただし、年収100万円超の場合は住民税が発生するので年収103万円以下でも控除を受けられることがあります)。

上記の条件を満たしていても、学校入学関連が目的の寄附、政治資金規正法違反にあたる寄附、支出した人に特定の利益が生じる寄附などの場合は、寄附金控除の対象外です。寄附をしたいと考えている場合は、控除の対象となっているかどうかを先に確認しましょう。

ふるさと納税との違いは?

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個人で手軽にできる寄附として人気がある「ふるさと納税」は、地方自治体への寄附に対する寄附金控除の1つです。豪華な返礼品を目的に、カタログショッピング感覚でできる寄附としても注目されています。

寄附する対象の自治体は、自分の居住地に限られていません。限度額は寄附する本人の収入などによって異なりますが、寄附金から自己負担額2,000円を差し引いた全額を控除するのが原則とされています。

確定申告せずに控除が受けられる「ワンストップ特例制度」も、ふるさと納税の大きな特徴です。給与所得者など確定申告が不要かつ寄附した自治体が5つまでであることが条件で、ふるさと納税先の自治体に特例適用の申請書を提出することで適用されます。

会社員で副業による所得がないという人の場合は、このワンストップ特例制度を利用できることが多いため、より手軽に控除申請することが可能です。控除される対象は所得税ではなく、翌年度に納付する住民税である点に注意しましょう。

控除対象の寄附金は6種類

控除対象となる寄附金は、大まかに次の6種類の団体に対するものに分類できます。

  1. 国と地方自治体(都道府県、市区町村)
  2. 公益社団法人・公益財団法人
  3. 独立行政法人、日本赤十字社、学校法人、自動車安全運転センターなど
  4. 特定公益信託
  5. 政党(支部含む)、政治資金団体
  6. 認定NPO法人など

上記のうち政党や認定NPO法人、公益社団法人などを対象にした寄附については、所得控除である寄附金控除の代わりに、寄附金特別控除として税額控除を受けることも可能です。該当する場合は寄附金控除と寄附金特別控除のうち、節税効果が高くなるほうを選ぶといいでしょう。