「フリーランスに向く人ってどんな人ですか?」「フリーランスに向かない人はいますか?」ーー私がよく聞かれる質問です。
今回はフリーランスの向き、不向きについて考えてみましょう。
フリーランスとは、「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」のことです。
内閣官房の調査によれば、日本国内におよそ462万人いるとされ、これは日本の労働力人口の6.7%を占めます(※1)。
ここで「フリーランス」と言った場合、広義では会社員をしながら「副業」でフリーランスをしている人もふくみます。
コロナ禍による価値観・生活スタイルの変化、リモートワークの浸透などが後押しとなり、フリーランスとして働きたい人は増え続けています。
読者の皆さんやその周辺でも、コロナ禍の中で「フリーランスとして働き始めた」人がいるのではないでしょうか。
進む「フリーランスのカジュアル化」

一方で、以前に比べるとテクノロジーやサービスの進展もあって独立・開業・副業のハードルが大幅に下がり、誰もが気軽にフリーランスになれる「フリーランスのカジュアル化」が進んでいるのも事実です。
ちょっと興味があって始めてみたら「意外に大変」「思ったより稼げない」ーーそんな声も聞こえてきます。
さまざまなキャリアの可能性を試すことに対して、私自身は基本的に前向きです。
せっかく転職、独立、副業(兼業)など働き方の選択肢が広がっているのですから、機会があって関心があればぜひ挑戦したらいいと思うのです。

しかしながら、できるかぎりネガティブな意味での「こんなはずじゃなかった……」と思う状況に陥るのは避けたいですよね。
フリーランスは「自分の知識やスキルを提供して対価を得る人」なので、「売り」になる知識やスキルがあることは大前提となります。
保有している知識やスキルの希少性が高ければ報酬は高くなりますし、誰もが保有している知識やスキルであれば、なかなか「稼ぐ」という意味では難しいかもしれません。
その前提に立った上で、私自身が「フリーランスに向く人」の第1条件に挙げたいのが「自律性がある人」です。
向く人の条件1:自律性がある人
例えば、私が理事をしているフリーランス協会が毎年実施している、フリーランスの実態調査の「フリーランス白書2021」(※2)から以下の質問を見てみましょう。

フリーランスに「今の働き方を始めた理由」についてたずねた質問です。
最も多いのは「自分の裁量で仕事をするため」(55.8%)で、「働く時間/場所を自由にするため」(50.8%)が続きます。
これらの回答はフリーランスの働き方の特徴をよく表しています。
フリーランスはいつ、誰と、どこで、何の仕事をするか、すべて自分自身の裁量によって決定することができます。

いくらフレックスタイム制やリモートワークなどの柔軟な働き方が増えたと言っても、会社員ではなかなかこうはいきません。
会社員の場合は、会社から与えられた役割や期待値にそって行動することが求められますから、多少の裁量があったとしても完全に自由とはいかないからです。
働く時間・場所・内容すべてを自身で決定し、自分のキャリアを自律的につくっていくことが好きな人はフリーランスに向いていると言えます。