連載:「私の未来」の見つけ方
生き方も、働き方も、多様な選択肢が広がる時代。何でも自由に選べるって素敵だけど、自分らしい選択はどうすればできるもの? 働く女性たちが「私らしい未来」を見つけるまでのストーリーをお届けします

自分らしい未来。自分らしい生き方。

人は簡単にそう言うけれど、自分らしさなんてどうやって見つければいいんだろう。「本当の自分」なんて言われても、分からない人だって多いだろう。

俳優・広末涼子さんも、「自分探しをしていた時期があった」と過去を振り返る。

その上で「自然体の自分が一番」とまばゆい笑顔を浮かべて見せた。

ヒロスエブームを巻き起こす一方、世間のイメージに縛られていた10代、20代のあの頃。「自分を見失いかけていた」という暗闇の中から、どうやって自分らしい未来をつかんでいったのだろうか。

虚像化されていく「広末涼子」から解放された、23歳での妊娠

デビューして間もない頃は、たくさんの人に自分のことを知ってもらって、想像以上の反響をいただきました。

ただ、うれしく思う反面、世間が思う「広末涼子」に対するイメージがどんどん確立されていって、それに対する戸惑いもありました。

いただいた役とどれだけ一生懸命向き合っても、本当に伝えたいことが伝わらない。今のように個人が気軽に自分の思いを発信する手段がまだ少なかった時代だということもあったかもしれません。「本心ではこう思っている」ということがあっても、それがなかなか伝えられなかった。

女優は、私が小さい頃からずっと夢見ていた職業。憧れのステージだったからこそ壊したくない気持ちもあったし、応援してくださる方を裏切りたくなかった。

だけどその一方で、このまま虚像化した「広末涼子」を演じ続けることに、心は限界を迎えていました。自分のキャパシティーを上回る期待や評価に押し潰されそうになっていたんです。

広末涼子、41歳。世間のイメージに縛られた20代を経て「自分は自分」と思えるようになるまで
(画像=『Woman type』より引用)

そんな最中、23歳で結婚、出産。私にとってこの出産は、いっぱいいっぱいの状況を一度リセットしてくれる出来事でした。

当時は、女性の俳優さんが子育てをしながら仕事をするケースがまだ少なかった時代です。子どもが生まれたらキャリアは手放して家庭に入るべき。そんな雰囲気があったように感じました。

でも、私はそれに納得がいかなかった。どうして女性だからって何かをあきらめなきゃいけないんだろう。なぜ母親になったら仕事ができなくなるんだろう。一つのものを手にするためにもう片方を諦めるような生き方を、私はしたくありませんでした。

それに、結婚しても子どもを持ってもこの仕事は続けられるんだ、ということを自分を通して証明したかったんです。

戻れなかったらそれまで。腹をくくったら怖くはなくなった

よくその若さで決断できたねと言われましたが、迷いはありませんでした。

「女性はこうあるべき」という社会からの圧力に潰されそうになったり、周りがつくった自分のイメージに必死に合わせようとして苦しくなったり。そんな状況に不安や疑問を抱えている人が、たくさんいました。

「出産・育児で現場を離れたらもう戻れない気がして怖い」という声を聞くことも、少なくなかった。だから、まずは私が腹をくくって「やろう」と決めたんです。戻れなかったらそれまでだ、と覚悟して。

広末涼子、41歳。世間のイメージに縛られた20代を経て「自分は自分」と思えるようになるまで
(画像=『Woman type』より引用)

そう考えられたのは、おそらく母の影響です。

私が芸能界に入って間もない、まだ中学3年生の頃のこと。ある連ドラのお話をいただいたんです。私はその作品に出たかったんですけど、母は「高校受験が終わってからじゃないとダメ」と首を縦には振りませんでした。

その時はもう大げんか(笑)。「チャンスを逃して夢がかなわなかったらどうするのよ」と訴える私に、母は「これでかなわなかったら、それまでなのよ」ときっぱり。なんて潔い人なんだと我が母ながら思います。

でも、その時の母の言葉がずっと忘れられなくて。出産の時も、「数年現場を離れて戻れないんだったら、私はその程度だったんだ」と納得できた。それに、もしダメだったらそこからまた努力して、自分で道を切り開けばいい。そうシンプルに考えられたんです。

広末涼子、41歳。世間のイメージに縛られた20代を経て「自分は自分」と思えるようになるまで
(画像=『Woman type』より引用)

その後、2年の産休を経て復帰。大好きな俳優のお仕事にまた新しい気持ちで取り組めるようになりました。それでも、本当の自分とのギャップはなかなか埋められなくて、もどかしい思いをしたことを覚えています。

当時は、「家庭のことは話さない」という事務所の方針がありました。私のお芝居を観ている人に先入観を与えず、フラットに作品を楽しんでもらうためには大事なことだったとは思います。

ただ、育児真っ最中の私にとって、トークの話題なんて子どものことくらいしかないんです(笑)。だから、取材の場でも何を話していいか分からなくて……。本当の自分を隠しているような葛藤がありました。

年齢を重ねることで自分らしさが出せるようになった

何も気にせず自分らしさを出していけるようになったのって、ごく最近なんです。今は子どもの話もオープンにできるようになりましたし。

この春から成人が18歳になったので、うちの長男も成人になりました。大人になったなと感慨深かったんですけど、その分自分も大人になったということ。この間、取材で「芸歴28年の広末涼子さんですが」と言われて「芸歴28年!?」って自分でもびっくりしました(笑)

広末涼子、41歳。世間のイメージに縛られた20代を経て「自分は自分」と思えるようになるまで
(画像=『Woman type』より引用)

でもこうやって年を重ねることは、案外悪くないものです。40代になって、もう「広末涼子」が世の中でどう見られているのかも全然気にならなくなりました。今の若い人たちは過去の私を知らないですし(笑)

あんまり図々しくならないようにしようと気を付けつつ、気負いがなくなった分、「自分は自分」と思えるようになりました。

若いころは、私にも凝り固まった理想像があったんですよ。俳優はこうあるべき、みたいな。もちろん目標や理想があることは良いことだけど、それを信じ込みすぎて、自分を見失ってしまっては元も子もないですよね。

何事も自然体が一番。私もやっと母親譲りの潔さを持てるようになってきたかな、と思っているところです。