高齢者がどんどん増加傾向にある現在、年金制度も変化の兆しを見せています。そんな中検討されているのが、厚生年金と国民年金の「積立金統合案」です。この案の目的と私たちへの影響について、詳しく確認していきましょう。

厚生年金と国民年金の統合で基礎年金の低下に歯止めをかける

現在の年金制度は、国民全員が加入する国民年金と、民間企業従事者や公務員が加入する厚生年金で構成されています。現役世代が納めた保険料をその年の年金受給者に給付するという賦課方式を採用しているため、少子化が進んで年金保険料を支払う現役世代が減ると、それに従って年金の給付も減少します。現役世代が年金を受け取る年齢になるころには今の年金額よりも少なくなるというのは、あなたも聞いたことがあるかもしれません。

そこで、財源が比較的安定している厚生年金の積立金で、国民年金給付額の低下に歯止めをかけるのが「積立金統合案」の狙いです。

国民年金のみの低年金高齢者の救済案としての側面も

現状の年金制度の問題点には、国民年金にしか加入していない人の給付金が少なくなることにあります。国民年金だけでは、老後の生活がなりたたない人も少なくないでしょう。その結果、老後に生活保護受給者になる人が増加すると予測されます。生活保護の財源は税金であるため、生活保護者の増加は国民の負担が増えることを意味します。そのため、現状の課題は、年金額が低い高齢者の増加を食い止めることとなり、救済案として厚生年金と国民年金の「積立金統合案」がクローズアップされたのです。