男女比が8:2と、業界全体を見渡すといまだ偏りの見られるエンジニアという仕事(出典)。同性の仲間と出会ったり、安心してスキルアップに打ち込める環境を求める女性エンジニアの集う場の一つとして、「女性向け技術コミュニティー」の存在がある。
日本マイクロソフトでプリセールスとして働く傍ら、『PyLadies Tokyo』など複数のコミュニティーで運営メンバーを務める石田真彩さんは、コミュニティーでの活動に魅了された一人。
約8年前から技術コミュニティーに参加してきた。
「社外のコミュニティーに参加するようになってから、技術に触れることがもっと楽しくなった」と生き生きと語る石田さん。コミュニティー参加を「有意義なもの」にするために意識していることがあるという。それは一体何なのだろうか。

<プロフィール>
PyLadies Tokyo 運営メンバー
石田真彩さん
新卒でSI企業に入社。Javaのエンジニアとして約3年働いた後に、自社サービスを手掛けるベンチャー企業や、別のSI企業への転職を経験。日本マイクロソフトへ転職。エンジニア歴13年、コミュニティー参加歴8年
「女子会ノリで技術トーク」女性限定コミュニティーへの初参加時の衝撃
ーー最初に石田さんが技術コミュニティーに参加したのはいつですか?
エンジニアになって5年目くらいの時ですね。
これからどうやって技術の知識を増やしていこうかと悩んでいた私に、当時働いていたベンチャー企業の上司や同僚が「社外の勉強会やイベントに行ってみたら?」と声を掛けてくれたことがきっかけでした。
実際にエンジニア向けのイベントに足を運んでみると、女性の姿はほとんどありませんでした。大規模なイベントだったのですが、会場の99%くらいが男性だったと思います。
女性が少ない環境には慣れていたので大きな違和感はありませんでしたが、その中で手を挙げて自分の意見を言うほどの勇気は私にはなくて。
せっかく参加しても、主体的に活動するのは難しそうだと感じました。
ーー確かに、自分がマイノリティーだと積極的になりづらいかもしれませんね。
なので、当時立ち上がったばかりの女性エンジニア向けのコミュニティーに参加してみたんです。
すると、最初に参加したイベントとは全然雰囲気が違ったんですよ。参加者は全員女性で、みんなワクワクしながら技術の話をしているんです。
こんなに技術のことを楽しそうに話す女性を、それまで私は見たことがありませんでした。
「女子会ノリで技術について語る」という経験は衝撃的でしたね。と同時に、仲間と出会えた気がしてうれしかった。
その経験をしてからは、『PyLadies Tokyo』や『Java女子部』といった女性エンジニア向けのコミュニティーに頻繁に顔を出すように。それぞれ雰囲気は異なりましたが、どちらもとても居心地が良かったんです。

どちらも技術が大好きな女性の集まりだったので、学ぶこともたくさん。ここに身を置いていたらエンジニアとしてもっと成長できるな、という実感が持てました。
次第に運営メンバーと親しくなって、現在は私も三つのコミュニティーの運営に携わっています。
ーー三つも! それほどまでにコミュニティーに魅了された理由は?
まずは、エンジニアとしてのスキルアップにつながることですね。
なかなか理解できないことでも、説明の仕方が変わるとスッと頭に入ることってありませんか? 私も、本を読んでも理解できなかったことが、コミュニティーで人の説明を聞いて分かるようになった経験が何度もあります。
もちろん、本から学べることも多いので、独学と技術コミュニティーの併用が自分には合っていました。
あとは、人とのつながりが増えたおかげで「リアルな情報」を得られるようになったこと。
Web上で発信されている情報だけでは、強い言葉で語られていることや、声の大きい人の意見を「正しい」と思い込んでしまいがちです。
でもコミュニティーの場では、いろんな人の生の声や実体験が聞けます。それぞれ異なる立場で働く人の価値観を知ったことで、物事に対して冷静な判断ができるようになりました。
特に、Java女子部やPyLadies Tokyoなど女性向けのコミュニティでは、日々の業務の中ではなかなか触れ合う機会のない女性エンジニアの意見が聞けるので貴重でした。