自分にもしものことがあった場合、残された家族の生活が心配ですし、40代を過ぎると親の一方に万が一のことがあった時、片方の生活はどうなるのか不安に思うこともあるのではないでしょうか。そこで今回は、残された家族へ支給される公的な遺族年金を2種類紹介します。この遺族年金の額は生命保険の保障額を考える際にも大切になるので、どういうものかしっかり理解しておきましょう。
遺族年金は残された家族のための年金

遺族年金は、国民年金や厚生年金保険に加入していた方が亡くなった時、その方によって生計を維持されていた遺族の生活保障のために支給される年金です。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の納付状況によって、どちらかまたは両方の年金を受け取ることができます。
自営業者の家族が受給する遺族基礎年金

遺族基礎年金の支給要件
遺族基礎年金を受給するためには、亡くなった人の保険料納付済期間+保険料免除期間が全被保険者期間の3分の2以上必要になります。保険料納付済期間とは、第1号から第3号被保険者として保険料を納付した期間で、保険料免除期間というのは学生や所得が少ないなどの理由で第1号被保険者の時に保険料を免除された期間です。
ただし、この要件を満たさない人でも、2026年4月1日までの特例として、死亡日に65歳未満でかつ直近1年間に保険料の滞納がなければ、遺族基礎年金を受け取ることができます。
誰がいつまでもらえるのか
遺族基礎年金を受給できる遺族は、亡くなった方に生計を維持されていた子または子のある配偶者です。従来は妻のみでしたが、夫も受給できるようになりました。ここでいう「子」とは、①18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子、または②20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子です。
遺族基礎年金の額はいくら
遺族基礎年金の額は、「78万100円+子の加算分」で、子の加算は、第1子と第2子はそれぞれ22万4,500円、第3子以降はそれぞれ7万4,800円となっています。
例えば、4人子供がいる場合、支給される遺族基礎年金の額は、78万100円+22万4,500円+22万4,500円+7万4,800円+7万4,800円=137万8,700円になります。
寡婦年金と死亡一時金
国民年金の第1号被保険者の独自給付として、寡婦年金や死亡一時金を受け取ることができる制度があります。ただし、この2つはどちらか一方しか受け取ることができません。
寡婦年金とは、老齢基礎年金に10年以上加入(免除期間を含む)していたにも関わらず、夫が年金を受け取らずに亡くなった場合に妻に支給される年金です。この年金を受け取れるのは10年以上の婚姻期間があった妻で、60歳から65歳まで支給されます。
死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を合計3年以上納付した方が年金を受け取らずに亡くなり、子がいない妻など遺族が遺族基礎年金を受け取れない場合に支給される給付です。
会社員はさらに遺族厚生年金がプラス

遺族厚生年金
第2号被保険者が亡くなった場合で、一定の要件を満たしているとき、遺族は遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金を上乗せして受け取ることができます。
子供がいなくても受け取れる遺族年金
遺族厚生年金が受け取れる遺族は、優先順位順に、亡くなった方に生計を維持されていた①配偶者(妻または夫)、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、となっています。
①の夫、③父母、⑤祖父母が受給する場合、実際に年金を受け取るのは60歳からです。また、①の夫が受給できるのは、遺族になった時点で55歳以上である場合に限ります。②の子④の孫は、18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子、孫(または障害等級1級、2級で20歳未満の子、孫)です。
遺族厚生年金の額はいくら
遺族厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額となっています。
報酬比例部分の年金額
=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数
+平均標準報酬額 ×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数
上記の式で計算できますが、特に計算式を覚える必要はありません。おおまかに、亡くなった人が受け取るはずだった老齢厚生年金のおよそ4分の3程度と考え、老齢厚生年金の額はねんきん定期便などで確認してみましょう。
中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算
遺族厚生年金には、さらに一定の遺族に支給される中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算があります。
中高齢寡婦加算は、夫が亡くなった時点で40歳以上65歳未満の子のない妻、または子がいてもその期間遺族基礎年金を受け取ることができない妻に対して、遺族厚生年金に一定額が加算される制度です。妻が65歳になった時点で妻自身の老齢基礎年金が受給できるため、支給は打ち切られます。
ただし、中高齢寡婦加算の打ち切りでその後老齢基礎年金をもらっても年金が減少する場合は、その減少分を補うための制度があります。それが経過的寡婦加算です。
万が一の時に備え、自分の遺族年金の額を知っておこう

今回は遺族年金の種類をご紹介しましたが、会社員の方であれば意外といろいろ支給されるんだなと思われたのではないでしょうか。こうした公的な遺族年金を知っておくことで、民間の生命保険の必要保障額を適正なものに見直すこともできます。万が一の時に備え、自分の遺族年金は誰にどのぐらい支給されるのか見当をつけておきましょう。
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