所定の条件を満たすと加入することが義務付けられている、雇用保険。
31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働く人は、加入対象になります。
「雇用保険ってパートには関係ないんでしょ?」「保険料がかかるなら、損じゃない?」と思っている方、ちょっと待って!
掛け金こそありますが、一蹴するにはもったいない制度です!
今回は、知って得する「雇用保険」について、ご紹介します。
雇用保険の加入条件
まず、加入条件について知りましょう。
•そもそも雇用保険とは?
働いている人たちに安定した生活と雇用の安定を約束するために設けられた制度です。
一定の労働条件下で働いている人は、加入する義務があります。
雇用保険の3つの加入条件
以下の3つの条件をすべて満たしていること。
・31日以上の雇用見込みがある
・1週間の所定労働時間(契約上の労働時間)が20時間以上である
・学生ではない(卒業見込みがある・定時制は除く)
※逆にこの3つの条件すべてに当てはまらなければ、雇用保険には加入できません。
パートの場合は、勤務状況によって労働契約時間が変更となることもあるでしょう。
今月は20時間をちょっと超えたけど、先月は20時間にはちょっと足りなかった…というときなどです。
その場合は目安として、3ヶ月間の勤務実態にあわせて、労働契約を変更することとなります。
なお労働時間には、残業時間や突発的な休日出勤は含まれません。契約上定められた就業時間、となります。
例をあげてみましょう。
雇用保険加入とならない例
契約は週3日・10時~15時(休憩なし)。毎日残業が2時間ずつ発生する
実働時間は15時間勤務+6時間残業=雇用保険加入対象にはならない。
雇用保険加入となる例
契約は週4日・10時~15時(休憩なし)・残業なし
実働時間は20時間=雇用保険加入対象になる
この条件さえ満たせれば、正社員と同じ保障を受けることができるのです。
もし雇用保険に加入したくない場合は、週の実働時間が20時間を超えないことを注意してみてください。
雇用保険のメリット・デメリット
次に雇用保険に加入のメリット・デメリットを確認しましょう!
•雇用保険加入の<メリット>
条件を満たせば、以下のような手当・給付金等をもらうことができます。
・失業等給付金 (いわゆる失業手当)
・教育訓練給付金
・育児休業給付金
・介護休業給付金 など
失業手当は、退職理由が会社都合か、自己都合か、年齢、保険料の支払い期間、給与の額、などによって給付される金額や期間が変わってきます。 気になる場合は、ハローワークのホームページなどで確認しましょう。
•雇用保険加入の<デメリット>
・毎月の給料から数百円、保険料が天引きされる
当月の収入を考えると、少しの収入でも多いほうがいいとデメリットに感じますよね。
ただし、保険料は数百円のことがほとんどです。(※雇用保険の料金については以下で説明します!)
たった数百円で、上記の給付金を受けられるメリットがあるのですから、雇用保険の加入は損にはなりにくいでしょう。
また、雇用保険の加入にあたって、年収は関係ありません。扶養枠内であってもなくても、週20時間以上働くのであれば加入対象となります。
雇用形態も同様で、派遣でもパートでも加入することができますよ。
雇用保険には多くのメリットがあることから、可能ならばパートでも週20時間以上働き、雇用保険に加入することをおすすめします。
•確認しておくべきポイントは?
「配偶者控除」と「社会保険」の2つのポイントを確認しましょう。
週20時間以上の勤務をすると、年収が増えます。
年収が150万円を超えると配偶者控除から外れるため、配偶者控除内の勤務を希望する方は注意が必要です。
また、月額8.8万円以上を超える場合、社会保険の適用となる可能性があります。
平成28年10月から、所定労働時間が週20時間以上、月額賃金8.8万円以上、勤務期間を1年以上見込み、従業員規模が501人以上の企業の場合、社会保険の適用となります。
平成29年からは従業員500人以下でも、労使合意があったり、国・地方公共団体の場合は、社会保険に加入できるようになっています。
雇用保険はいくらかかるの?
さて、メリットはわかったけれども、実際いくらくらい天引きされるのか?が、気になりますよね。
保険料の目安ですが、負担額が3/1000(一般事業の場合)なので、給与の0.3%が保険料(※)になります。
主婦パートの平均収入は、月10万円くらいといわれていますので、月額10万円働いたとしたら雇用保険料は月額300円。
雑貨を1つ我慢したらすぐ節約できるくらいの金額で、失業手当など受給ができるのです。
※雇用保険料率:年1回、金額が見直されるので、毎年確認をしておくようにしましょう。厚生労働省のHPに料率表が公表されています。
※URLの記載について「平成29年から変更ありません」と書かれていますが、平成29年3月に「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が成立したことにより、平成29年4月から1年間、雇用保険料率が引き下がりました。平成30年4月以降も1年間、この料率が継続されます、という意味になります。
雇用保険加入に手続きは必要ない!?
では、雇用保険に加入するにはどのような手続きをしたらよいのでしょうか?
雇用保険は、条件を満たしていれば加入しなければいけないため、雇用主である会社が加入手続きをしてくれます。
働く側が行うこととしては、雇用保険被保険者証に記載されている「雇用保険被保険者番号」を企業にお知らせすることです。
条件を満たしているにもかかわらず、何らかの理由で加入していなかった場合には、まずお勤めの企業へ相談してみましょう。
•会社が雇用保険加入の手続きをしてくれない?場合
通常は企業が手続きを取ってくれるのですが、中に手続きをしたがらない会社もあります。
保険料は企業・雇用者で折半支払いであるため、企業側が保険料を払いたくない、などの理由が大半です。
その場合には、最寄りのハローワークに事情を説明して相談しましょう。
企業に雇用保険の手続きを取ってもらうために、労働基準監督署に相談するという方法もあります。
場合によっては早めに転職を考えた方がいいかもしれません。
そうならないためにも、採用前に求人情報に記載があるか確認し、もし記載がない場合でも面接で確認しておけると安心です。
この記事の末尾に、週20時間以上のお仕事特集を加筆しました。よろしければ、ご活用くださいませ。
パートでももらえます!育児休業給付金
最後に、育児休業給付金についてご説明します。
「育児給付金」とは、育児休業開始から180日まで休業前の賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給される制度のことです。
雇用保険加入のメリットとして挙げられるこの育児休業給付金ですが、実はパートとして働いている方も条件を満たせば受給できることをご存知でしょうか?
近年の法改正により育児休暇取得の条件が緩和され、パートの方でも育児休暇が取りやすくなりました。
育児休暇取得の条件は以下のようになっています。
・申請をしたときに、(同一事業者に)1年以上雇用されていること。
・子どもが1歳6カ月になる時点で、雇用契約の期間が満了することが明らかでないこと。
復帰するかどうかはわからなくとも、契約終了が決まっていなければ、取得資格はあることになります。
さらに育児給付金取得するのに必要な条件は、育休前と育休中のもので、2つあります。
•育休前の条件
・雇用保険に加入している ・休業前の2年間で11日以上出勤した月が12カ月以上ある
•育休中の条件
・休業前の8割以上の賃金が支払われていない ・働く日数が月10日以下である。
育児給付金は雇用保険に加入していることが前提となっていますが、万が一加入できていなかった場合、さかのぼって加入もできます。
まとめ
雇用保険は、条件が満たされていれば強制的に加入となりますが、安い保険料でとてもメリットのある制度です。
加入条件は、下記の3つ。
・31日以上雇用見込みがある
・1週間の所定労働時間(契約上の労働時間)が20時間以上である
・学生でないこと
雇用保険に加入して働きたい場合、週20時間以上&31日以上雇用見込みがあるお仕事を探す、ということが一つのポイントになってきます。
雇用保険に加入したい場合は「週20時間以上」
雇用保険に加入したくない場合は「週20時間未満」がキーワードです。
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