「1年間で40兆円弱を稼ぎ出す投資団体」と聞いて、どのような凄腕ファンドを思い浮かべるだろうか。そのファンドとは、日本の公的年金積立金を運用・管理するGPIF(ジーピーアイエフ/年金積立金管理運用独立行政法人)だ。

世界最大規模の運用資産額を誇るGPIFの投資手法やポートフォリオを知ることで、個人投資家も様々なヒントを得られるかもしれない。

1年間で40兆円弱の利益をあげたGPIFとは?

厚生労働省所管の独立機関である「GPIF」とは、Government(政府)・Pension(年金)・Investment(投資)・Fund(ファンド)の頭文字をとったものだ。信託銀行や投資顧問会社といった運用受託機関を介して、国民年金保険料から徴収された公的年金積立金を国内外の株式・債券市場で運用する。その収益が、年金給付の原資となる仕組みである。

運用資産額は2005年以降100兆円を超えており、「世界一のクジラ(巨大な資金力を有する機関投資家)」の異名をもつ。100兆円というと、日本の一般会計歳出(社会保障・国債費・地方交付税交付金等)とほぼ同じ規模だ。当然ながら、資金の動きが世界の株式・債券市場に与える影響は極めて大きい。

なぜ1年間で40兆円弱の利益をあげることができたのか

GPIFの運用資産額は過去20年間で約5倍増加し、2020年度には過去最大の186兆1,624億円、運用実績は37兆7,986億円の黒字(収益率25.15%)を記録した。コロナ禍で8兆2,831億円の赤字(-5.20%)となった前年度と比べると、にわかには信じがたい快挙である。

なぜ、わずか1年でここまで形勢が一変したのか。決め手の一つとなったのは、基本ポートフォリオ(資産構成割合)の大幅な変更だ。GPIFは長期運用戦略として、各資産の期待収益やリスクを考慮しながら、積立金のベースとなる基本ポートフォリオを定めて運用している。

リスクの最小化を狙った第1期中期目標期間(2006~2009年度)は国内債券が全体の67%を占め、外国債券と株式は10%未満だった。しかし、2014年10月以降は運用改善狙いでリスク運用の比率が高まり、第4期中期目標期間(2020年4月~5年間)は以下のように各25%前後に変更された。

  構成割合 収益率 収益額
国内債券 25.92% -0.68% -2398億円
外国債券 24.61% 7.06% 2兆6,738億円
国内株式 24.58% 41.55% 14兆6,989億円
外国株式 24.89% 59.42% 20兆6,658億円

収益率からわかるように、外国株式と国内株式からの収益が圧倒的に高く、不調だった国内債券を強力に補う結果となった。コロナ禍の2020年度は主要国で大規模な金融緩和政策が継続され、国内外の株価が高騰。これが過去最大の運用実績につながった。