資産運用に関するコンテンツを読むと、資産運用の“王道”は分散投資である旨が記載されていることが多い。そして、分散投資の対義語とも言える「集中投資」は避けた方がよいと記載されているのをたびたび目にする。

しかし、分散投資が必須であり、集中投資は忌むべき存在だということは万人に当てはまるのだろうか。「資産運用の“王道”は分散投資である」ことを大前提に、この記事ではあえて、分散投資に疑問を投げかけてみたい。

「分散投資」と「集中投資」

まずは改めて、「分散投資」と「集中投資」について確認してみよう。

分散投資とは、資産運用におけるリスクを減らす方法の一つだ。分散投資には、資産の分散や地域の分散、時間の分散などがある。資産の分散、地域の分散は購入する商品を分散する方法、時間の分散は購入する時期を分散する方法だ。

集中投資とは、複数の資産に分散せず、限られた特定の資産に集中的に投資することを指す。保有する資産の数において、いくつまでが集中投資で、いくつ以上が分散投資といった線引きはない。しかし一般的には、一つもしくは少数の資産に資金を集中させることを指す。

集中投資は、運用成績が特定の資産の値動きに大きく左右されるため、ハイリスクハイリターンの運用方法と言われている。

資産運用の“王道”は分散投資?

投資について調べる際、「資産運用の“王道”は分散投資である」といった意見を見かけることがあるのではないだろうか。特に、資産運用初心者向けの記事などでは、呪文のように「資産運用においては分散投資が重要だ」という言葉が繰り返されている。

分散投資はリスクを低減する運用方法であるため、その記載は間違いではないだろう。しかし、あくまで“王道”であり、場合によっては“裏道”の方が合う人もいるかもしれない。

それでなくても、投資家は一人ひとり保有資産、収入、知識、家族構成、ライフスタイル、運用目標などが異なる。「アウトサイダー向けの裏道」が存在してもよいだろう。

分散投資を行うべき人

それでは、分散投資を行うべき人としては、どのような人が考えられるのだろうか。

減らさないことを重視したい人

分散投資はリスクを低減する運用方法である。従って、「減らさないことを重視したい人」には分散投資が向いていると言える。

「減らしたくないのであれば、銀行預金に預けておけばいいじゃないか」と思う人がいるかもしれない。しかし、銀行預金ではインフレによる物価上昇などによって、価値が目減りしてしまうリスクがある。「インフレに負けないくらいのリターンは欲しい」という場合は、分散投資を行うとよいだろう。

長い時間をかけて資産を安定的に形成したい人

原則として、資産運用において「リスク」と「リターン」は比例するため、リスクを低減する分散投資は、リターンも低くしてしまう。金融市場の動向によっては、分散投資でも短期間で大きなリターンが出ることがある。しかし、基本的には「長い時間をかけて資産を安定的に形成したい人」に向いていると言える。