投資信託に限らない話ですが、資産運用がうまくいった際に避けて通れないのが「税金の負担」です。投資信託の利益には、原則として20%(所得税15%+住民税5%)の税金がかかります。また2013~2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額に2.1%を乗じた額を追加で納付する必要があります。そのため、所得税15%×2.1%=0.315%を加えた「20.315%」の税金がかかることになります。

例えば、100万円で購入した投資信託を110万円で売却し、10万円の利益が出た場合は、2万315円を税金として納付することになり、手残りが7万9,685円になります。決して少なくない負担といえるでしょう。そこで活用したいのが「NISA」です。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。今回は、NISAで購入するときの5つの注意点と、NISAで運用するメリットについて解説します。

監修者・菅野陽平
日本最大級の金融webメディア「ZUU online」編集長。株式会社ZUUM-A取締役。経営者向けメディア「THE OWNER」編集長。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、新卒で野村證券に入社。リテール営業に従事後、株式会社ZUU入社。メディアを通して「富裕層の資産管理方法」や「富裕層になるための資産形成方法」を発信している。自身も有価証券や不動産を保有する個人投資家でもある。プライベートバンカー資格(日本証券アナリスト協会 認定)、ファイナンシャルプランナー資格(日本FP協会 認定)保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)

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投資信託などの運用益が非課税になるNISAとは何か

NISA とは、「Nippon Individual Savings Account」の頭文字から取った略語で「ニーサ」と読みます。NISAは自助努力に基づく資産形成を支援・促進する目的から政府が導入した税制優遇制度です。2014年1月からスタートし、NISA口座を利用すれば、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益がすべて非課税となります。

一口にNISAといっても2021年9月時点で「一般NISA※」「ジュニアNISA(2016年1月スタート)」「つみたてNISA(2018年1月スタート)」の3つがあります。「ジュニアNISA」は、未成年者(0~19歳)を対象とした少額投資非課税制度です。「ジュニアNISA」は、2023年末での廃止が決まっているため、今回は「一般NISA」と「つみたてNISA」を中心に解説していきます。
※一般NISAは、単にNISAと呼ばれていますが混乱を避けるために本記事では一般NISAと表記します。

一般NISAの概要

一般NISAは、2014年1月にスタートした小額からの投資を行う人のための非課税制度です。非課税期間は最長5年で、1年間の新規投資額の上限が120万円までとなっています(2021年9月7日執筆時点)。例えば投資信託に投資した場合、元本の運用により生じた収益から支払われる利益である「普通分配金」と売却時の「譲渡益」が非課税になります。(分配金には「普通分配金」と「特別分配金」がありますが、元本の払い戻しにあたる「特別分配金」は利益にあたりませんので、もともと税金はかかりません。) 概要は以下の通りです。

利用できる人 日本に住んでいる20歳以上の人(口座を開設する年の1月1日現在)
非課税対象 株式・投資信託などへの投資から得られる配当金・分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円が上限(非課税投資枠は最大5年間で600万円)
非課税期間 最長5年間(ロールオーバー可能)
投資可能期間 2014~2023年

(出所:金融庁ウェブサイト NISAの概要)

つみたてNISAの概要

つみたてNISAは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。非課税期間は最長で20年間で、1年間の新規投資額の上限が40万円となっております。概要は以下の通りです。

利用できる人 日本に住んでいる20歳以上の人(口座を開設する年の1月1日現在)
非課税対象 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)
非課税期間 最長20年間(ロールオーバーは不可)
投資可能期間 2018~2037年

(出所:金融庁ウェブサイト つみたてNISAの概要)

一般NISAでは、各金融機関で取り扱いのあるほとんどの投資信託を購入できますが、つみたてNISAの対象商品は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限ります。金融庁の「つみたてNISA対象商品届出一覧」を確認すると、2021年6月18日時点での対象銘柄は199本です。 例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすものと定められております。

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
  • 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
  • 信託契約期間が無期限または20年以上であること
  • 分配頻度が毎月でないこと
  • ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

前述の通り、「販売手数料はゼロ」、「信託報酬は一定水準以下」、「分配頻度が毎月でないこと」などが選定条件となっているため、選択肢が狭まってしまう一方、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に絞られているので、資産運用の初心者からは「わかりやすく取り組みやすい」という声も聴かれます。

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投資信託をNISAで購入する前に理解しておきたい5つの注意点

前述の通り、一般NISAとつみたてNISAは、どちらも投資信託から得られる利益がすべて非課税となるため、有効活用したい制度です。それでは、実際に投資信託をNISAで購入するときは、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。今回は、購入する前に理解しておきたい注意点を5つ紹介します。

1.非課税とはいえ元本割れリスクがなくなるわけではない

投資信託で運用する以上、銀行預金とは異なり元本割れリスクがあります。NISA(一般NISA、つみたてNISA両方とも)は「利益が発生したときに非課税になる制度」であり、NISAで運用したからといって必ず利益が発生するとは限りません。そのためNISAは、「運用がうまくいったときに税制の優遇を受けられる制度」と理解しておきましょう。

2.どちらか一方しか選択できない

前述の表を見ると「一般NISA」、「つみたてNISA」のどちらも「口座開設可能数は1人1口座」と記載してあります。これを読んで、「両方を同時に口座開設できるということ?」と思われた方もいるかもしれません。 NISA口座は、両方同時に口座開設することはできず、どちらか一方を選択することになります。ただし、一般NISAとつみたてNISAは1年単位で変更することが可能です。また、口座開設している金融機関を変更したい場合も1年単位であれば変更ができます。

3.非課税投資枠は翌年に持ち越せない

一般NISA、つみたてNISAともに年内で非課税投資枠の未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできません。「限度額いっぱいまで投資信託を購入したかったのに購入手続きを忘れてしまった」とならないように注意してください。 ただし、無理に非課税投資枠の上限まで購入する必要はありませんので、経済的な負担に無理がないように計画的な資産運用をおこないましょう。

4.損失が出ても損益通算ができない

NISA以外の投資信託口座(一般口座や特定口座)で投資信託を購入した際に、運用がうまくいかず投資信託を売却して損失が出たときは他の投資信託や株式で得た利益と損益通算することで税負担を下げることが可能です。しかしNISA口座(一般NISA、つみたてNISA両方とも)で発生した損失は、NISA以外の口座(一般口座や特定口座)の利益と損益通算ができません。

5. NISA以外の口座で購入した資産はNISA口座に移せない

NISA(一般NISA、つみたてNISA両方とも)は新規の投資が対象です。したがって、すでにNISA以外の口座(一般口座や特定口座)で保有している株式や投資信託をNISA口座に移すことはできません。「特定口座で含み益があるから、購入した投資信託をNISA口座に移して課税を回避しよう」と思っても、それはできないので気をつけましょう。

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