仕組債は、上手に活用すれば資産運用の大きな助けになる金融商品です。しかし資産運用の初心者からすると、やや商品性が複雑に感じるかもしれません。そのため、自分の認識が誤っていると、「こんなはずじゃなかった」と後悔をしてしまう可能性があります。仕組債を上手に活用するには、しっかりと商品性を理解することが重要です。今回は、仕組債で「こんなはずじゃなかった」が起こり得る2つの理由と、そうならないために必要な知識について解説いたします。

監修者・菅野陽平
日本最大級の金融webメディア「ZUU online」編集長。株式会社ZUUM-A取締役。経営者向けメディア「THE OWNER」編集長。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、新卒で野村證券に入社。リテール営業に従事後、株式会社ZUU入社。メディアを通して「富裕層の資産管理方法」や「富裕層になるための資産形成方法」を発信している。自身も有価証券や不動産を保有する個人投資家でもある。プライベートバンカー資格(日本証券アナリスト協会 認定)、ファイナンシャルプランナー資格(日本FP協会 認定)保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)

まだまだ知りたい「仕組債」とは?

仕組債とは何か

これまでの連載と重複しますが、まずは改めて仕組債について説明します。仕組債とは、文字通り一般的な債券にはない特別な「仕組み」を持つ債券のことです。債券とは、国や企業などが投資家からお金を借りるために発行する有価証券のことを指します。そこにスワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)という「仕組み」を加えたのが仕組債です。

仕組債は、投資家や発行者のニーズに合う満期やクーポン(利子)、償還金などを比較的自由に設定することができます。そうした「仕組み」によって一般的な債券と比べ、比較的高い利率を得ることができることが大きなメリットです。しかし、「仕組み」があることによって資産運用の初心者からすると、商品性にやや複雑さを感じてしまう傾向があります。

仕組債で「こんなはずじゃなかった」が起こり得る2つの理由とそうならないために必要な知識

インターネットで仕組債に関する記事を検索すると、仕組債の特徴やメリットを紹介する記事がある一方で、「こんなはずじゃなかった」と嘆く記事が見つかります。なぜそのような記事が見つかるのでしょうか。「仕組債はその性質上、やや商品性が複雑な金融商品」であるため、「購入者が商品性をよく理解できていないまま購入している」可能性が考えられます。

これは仕組債以外の投資性商品にもいえますが、しっかりと商品性を理解してから購入することが前提条件です。

ここからはもう少しブレイクダウンして、仕組債で「こんなはずじゃなかった」が起こり得る2つの理由とそうならないための方法について解説していきます。

まだまだ知りたい「仕組債」とは?

1.「国債や社債などの一般的な債券と同じようなもの」と誤認しやすい

「こんなはずじゃなかった」が起こり得る1つ目の理由として、仕組債を「国債や社債などの一般的な債券と同じようなもの」と誤認して購入したケースがあげられます。国債や社債などの一般的な債券のリスクとして主に、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクがあります。一方で仕組債には、これまでの連載で紹介してきた「仕組債全般に通じるリスク」として、一般的な債券のリスクと合わせて主に以下のリスクがあります。一般的な債券との違いとして、参照指数の動向によっては、元本割れしてしまう可能性があることや早期償還の可能性が加わっていることに注意が必要です。

〈仕組債全般に通じるリスク〉

  • 元本リスク
  • 信用リスク
  • 価格変動リスク
  • 流動性リスク
  • 早期償還による再投資リスク

一般的に債券は株式に比べてリスクの低い金融商品であることから、「国債や社債などの一般的な債券で運用していればリスクが低い運用ができる」と考えている方もいるかもしれません。しかし、仕組債の商品性を深く理解せずに「一般的な債券と同じようなもの」と誤認してしまうことには注意が必要です。リスクの低い運用ができていると思ったら予期せぬ元本割れが発生してしまい、「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。仕組債の大きなメリットは、その「仕組み」によって一般的な債券に比べて比較的高い利率を得ることができることです。仕組債のメリットと注意点をよく理解して、上手に資産運用に組み入れていきましょう。

【「こんなはずじゃなかった」とならないために必要な知識】

「こんなはずじゃなかった」とならないためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。まず仕組債は「国債や社債などの一般的な債券とは大きく異なる特徴を持つ債券」という認識を徹底しましょう。また利率の高さだけで飛びつかないようにすることが重要です。例えば仕組債は、年率2.00%(税引前。以下同じですので「税引前」という表記は省略します。)以上の商品も少なくありません。また、『【第5回】仕組債の一つ「デジタルクーポン型」とは?メリットと注意点を解説』で説明した「デジタルクーポン型」の例のように、高い方の利率が年率6.00%以上の商品もあります。メガバンクの普通預金が年率0.001%(2021年8月22日執筆時点)ということを考えると、魅力を感じる人も多いことでしょう。

資産運用の原則として「リスクとリターンは表裏一体の関係にある」とよくいわれます。これは、「リターンが比較的大きい仕組債が危険な商品」という意味ではなく「リターンの裏側にあるリスクを認識することが大切」ということを意味しています。具体的には、専門用語の意味を理解したうえで「どのようなときに元本割れするのか」、さらには、「元本割れ後はどのくらいの損失になるのか」という償還パターンを理解するようにしましょう。詳細は、この連載の『【第4回】仕組債をわかりやすく説明!各用語と償還パターンについて』をご覧ください。

早期償還条項が付いている場合は、最終償還期日(満期償還日)より前に早期償還されることがある点も押さえておきましょう。早期償還が発生した場合は、損失は発生しないものの、以後の運用において早期償還されなかった場合(満期まで運用した場合)に得られる利息と同等の運用成果が得られない可能性があります。これは、一般的な債券にはない条項です。

また仕組債は「流動性が低く途中売却が難しい」という特徴があります。もし売却できたとしても、投資元本を大きく割り込む価格で売却せざるを得ない可能性もあります。一般的な債券でも途中売却時の元本割れリスクはありますが、仕組債はより流動性が低いことに注意が必要です。仕組債は、投資(資産運用)となるため、余裕資金で行うことが大前提です。

まだまだ知りたい「仕組債」とは?