共働きが当たり前になってきている近年、「結婚したら女は家庭に入るもの」という価値観は崩壊しつつある。とはいえ、結婚した後も女性が快適に働き続けるための環境はまだまだ十分とはいえず、中には苗字が変わることによって、仕事に影響が出ることを心配する人もいるだろう。そんな女性の選択肢の一つになり得そうなのが、国に届け出をせずに事実上の婚姻関係を結ぶ事実婚だ。

「最近、事実婚に興味を持つ女性が増えていると感じます。昔は古い家制度や結婚の仕組みへの問題意識から選ぶ人が多かったですが、今は皆さんもっと自然体ですね。経済的に自立している30代の女性だと、『苗字が変わるのが面倒』『そもそも結婚を届け出る理由がよく分からない』という声が多いです」

こう話すのは、事実婚歴23年で二児の母でもある、結婚・離婚カウンセラー行政書士の武石文子さん。日本ではそう多くない印象の事実婚だが、実際に事実婚を選択した場合、仕事をしていく中でどのような影響があるのだろうか。

「旧姓を使いたい」が理由で離婚する人も!
愛着ある名前を使い続ける利点とは?

働く女性が「事実婚」したらどうなる? 事実婚歴23年の経験者が語るメリット・デメリット
(画像=「事実婚歴20年の〈結婚・離婚カウンセラー行政書士〉が語る『事実婚』のホントのことがわかる本」(著者:武石 文子/845円(税込)/Kindle版/すばる舎)
結婚・離婚相談を数多く受ける、事実婚歴20年の著者が、自らの体験、家族の声、事実婚カップルの声などから構成。気になる子どもや税金のことから、「夫婦間の相続権が無いから遺言書の作成が必要」といった実用的な情報まで盛り込まれている。事実婚の「本当のところ」にズバリ切り込んだ、画期的な1冊だ、『Woman type』より引用)

現在の法律では婚姻届を出すと、どちらかの姓を選び、元々その姓だった人を筆頭者とする二人の戸籍が作られる。双方とも改姓せずに結婚をするには、事実婚しか選択肢がないのが現状だ。

「事実婚の最大のメリットは愛着ある名前を使い続けられること。私は、結婚相手の姓になって相手の家に取り込まれたくないという思いから事実婚を選びました。それに改姓をせずに元の名前のままでいることは、仕事をしていく上でも利点があるんですよ」

法律婚後も仕事上の通称として旧姓を使い続けるという方法もあるが、2つの名前を使い分けようとすると収入や書類の手続きが煩雑になるなど、想像するより面倒なことは多い。

「最近、金融機関のトップになった女性は就任をきっかけに旧姓使用をやめています。結婚後もずっと旧姓を使って仕事をしていたのに、会社登記が戸籍名でしかできなかったからです。普段は旧姓を使っていたとしても、基本的に公的な場面では戸籍上の名前しか認められません。でも事実婚であればどのような場面であっても、元の名前を使い続けることができます」
中には思うように旧姓使用ができないことを理由に、ペーパー離婚して事実婚に切り替えたいと相談に来る人もいるのだとか。ただ、「事実婚をするのであれば、ある程度の覚悟は必要」と武石さんは言う。