働き方が問われている昨今、今までになく起業や独立を考えている女性が多い時代なのかもしれません。世界中にいる「自分で新しく何かを始めた」女性たちの話を知ることは、そんな女性の背中を押してくれることでしょう。

ここでは、アメリカで30万部を記録した話題のベストセラー『自分で「始めた」女たち』(グレース・ボニー著、海と月社)より、好きなことを仕事にするうえで知っておくべき考え方を紹介します。

見たことがないものにはなれない

ニューヨーク郊外のハドソンバレーに暮らす本書の著者は、雑誌編集者を経て、2004年に1日150万人以上の読者が訪れるクリエイター向けWebサイトを開設。さらにクリエイター向けの無料ビジネスコラムを執筆し、週刊ラジオ番組のホストも務めています。

「見たことがないものにはなれない。」これは、社会活動家マリアン・ライト・エデルマンのことばです。まったくそのとおり。だから私はこの本で、インタビューした女性たちの「ことば」と「姿」の両方を「見て」もらうことにしました。(6ページより引用)

本書には、料理研究家、デザイナー、作家、ミュージシャン、モデル、家具職人、ジャーナリストなど、じつに多様な世界で活躍している112人の女性たちのストーリーが収められています。数多くのメディアがこぞって絶賛し、ニューヨーク・タイムズベストセラーにもなりました。

紹介されている女性たちの年齢は19歳から94歳までと幅広く、人種もさまざま。自分にとってインスピレーションを受けるような人や職業が、きっといるはずです。

まずはビジネスの基本を学ぶこと

1人の紹介に対して2~4ページの構成になっている本書。人間性や趣味嗜好が分かる個性的なポートレートとともに、Q&A方式で子どもの頃の夢やビジネスを始めたきっかけなどがまとめられています。

例えば、ニューヨーク市ブルックリン区で陶芸家兼デザイナーとして活躍しているミシェル・クアン氏の紹介では、クリエイティブ系のビジネスに関する回答が掲載されています。

―自分でビジネスを始めて得た最大の教訓は? 仕事はシンプルにして、それに打ち込む。(23ページより引用)

彼女のビジネスに対する考え方は一貫していて、すべてのことをシンプルかつフェアに行い、モットーは「こだわらない」こと。そうでないと振り回されてしまうのだとか。陶芸家としての仕事場の様子や道具の写真も掲載されており、眺めているだけでも何か新しく始めてみたくなる願望を刺激してくれます。

さらに彼女は、クリエイティブ系の仕事を始める人に勧める備えとして、経営の基本を学ぶ授業やワークショップに参加することをアドバイスしています。経営の基本やノウハウを押さえておくことで、いざ経営者になったときにぶつかる壁を乗り越える力になるでしょう。

フリーランスの心得

バージニア州ブラックスバーグで大学教授をしている詩人のニッキ・ジョバンニ氏の紹介では、フリーランスとしての苦労やビジネスアイデアなどが掲載されています。

―フリーランスの苦労は? 一人で働くスタイルは大好き。自分のやりたいようにできるもの。とはいえ、私には助けてくれる仲間が3人いる。この人たちがいなかったらお手上げ、彼らの専門知識に頼りきっているわ。(155ページより引用)

組織に属する形ではなくフリーランスとしての働き方を選んでいる彼女。幼い頃から旅への憧れが常にあったようで、自由な働き方と旅への憧れは、どこか考え方がリンクしているのかもしれません。

仕事仲間をつくること

フリーランスという働き方は、自由な反面、孤独であったり、一人で解決しなくてはいけない場面が多かったりするでしょう。女性の場合は、周囲に助けてくれる人を置くことで困難を乗り越えていけると彼女は言います。

失敗から学ぶ姿勢が重要である

彼女は、「失敗」は人生を構成している礎(いしずえ)や踏み台であり、新しいことを学ぶ手段であるとも語っています。フリーランスとして働いていきたいと考えている人は、知っておくべきスタンスであると言えるでしょう。