存在感のある演技派として、一線で走り続けている俳優・堤真一さん。『弾丸ランナー』『ポストマン・ブルース』『アンラッキー・モンキー』『MONDY』『DRIVE』と、今から20年ほど前に、エネルギー溢れる作品をともに送り出した盟友SABU監督と久しぶりに組んだ『砕け散るところを見せてあげる』が公開になりました。
そんな堤さんに、SABU監督との仕事について、本作で主演を務める中川大志さん、石井杏奈さんの印象、さらに56歳となった現在の、役者としての心境を聞きました。
忙しくても受けたのは、SABU監督からのオファーだから
――堤さんとSABU監督の久しぶりのお仕事に、特に私は世代的にも興奮しました。
堤真一さん(以下、堤)「『こういうオファーが来てるよ』と。ただそのころ、スケジュール的にきつかったので、断っていた可能性もあったんです。でも脚本が面白かったし、何よりSABUからのオファーだったので。参加できてよかったです」
――SABU監督は特別な存在ですか?
堤「同じ年で昔からの付き合いですし、今はもう家族ぐるみなんです。年に一度は家族同士とか、何かしらで会っているので、僕としては久しぶりという感覚はあまりなくて。いまSABUは沖縄に住んでいるので、しょっちゅうは会えませんが、もしSABUが東京にいたら普段から会いすぎて逆に仕事がしづらくなっていたかもしれません」
中川大志さん、石井杏奈さんの印象
――実際の撮影現場で、SABU監督の声や居ずまいに懐かしさを感じたりは?
堤「以前からあまり大きな声を張り上げる人ではなかったので、相変わらずボソボソと言ってるなと思いました(笑)。SABU組は楽しいし、今回は物語的にはキツイ部分があるけれど、SABUが優しい人なので、監督からの変なプレッシャーというのもなくて、まずは自分が思った通りに演じて、それをちょこっと修正しにきてくれる。若いうちにSABUと仕事ができるのは良いことだと改めて感じました」
――若い人というと、今回の中川さん、石井さんの印象は?
堤「中川くんは前にもご一緒したことがあって、屈託のない伸び伸びした青年ですね。今回の役にもぴったりだし。杏奈ちゃんのほうは初めてでしたが、運動神経がよくて明るいから、いじめられる役というのが、どうなるのか最初は少し心配ではありました。自分と極端に違う役柄のときは、極端に「可哀そうアピール」のような芝居になりがちなんですが、全般を通して、彼女には全くそういうところがなくて、すごく良かったです」