朝鮮民族の歴史的出発点
10月3日の開天節(ケチョンジョル)は、檀君(タングン)神話に基づく韓国の建国記念日です。朝鮮民族の始祖とされている伝説上の人物「檀君」が古朝鮮を建国したことを記念する日として、1949年に制定されました。
公休日として制定されたのは比較的最近ですが、韓国では古くから収穫の時期である10月を上月(サンダル)と呼び重視してきました。
また、朝鮮末期頃からは檀君を信仰する大倧教(テジョンギョ)という教団が陰暦10月3日に開天節という名で祭礼儀式を行なうようになり、1919年中国の上海に樹立された大韓民国臨時政府でも、同日に記念行事を開催していました。
檀君を民族的アイデンティティーとして認識する伝統は大韓民国成立後も受け継がれ、開天節は1949年に陰暦から西暦に変更され韓国の公休日となりました。
なお、2021年6月29日にすべての祝日に振替休日制度を適用する「公休日に関する法律」が国会で可決。2021年の「開天節」当日は10月3日、振替休日は10月4日です。
檀君神話とは?
さて、開天節と深い関係を持つ檀君神話。韓国初の民族国家である古朝鮮(期間は紀元前2333年~108年と伝えられる。1392年に李成桂(イ・ソンゲ)が建てた「朝鮮」と区別するために古朝鮮とされる)を築いた檀君の誕生と、建国するまでのストーリーが主な内容です。
ニンニクとヨモギで人間に…?!
昔々、天地をつかさどる神が自分の息子を地上に遣わしました。息子である桓雄(ファンウン)が地上に降り人々を治めるようになったある日、熊と虎が「お願いです。私たちをどうか人間にして下さい」と桓雄にお願いに来ました。桓雄は、「では、ヨモギ1束とニンニク20個を授けよう。これを食べながら、100日間日光を避けて洞窟にこもりなさい。そうすれば人間になれるであろう」と言いました。
熊と虎は早速洞窟に入りましたが、虎は我慢できずにすぐに逃げ出してしまいました。しかし熊は辛抱強く洞窟にこもり続け、ついに21日目に美しい人間の女性に変わることができました。
そして、女性に生まれ変わった熊は、「どうか子供を授けてください」と熱心に祈りはじめます。その願いを聞いた桓雄は熊女をめとり、2人の間に男の子が産まれました。
男の子は檀君(タングン)と名づけられました。その後、檀君は国を建て「朝に鮮やかなる地」という意味で国名を「朝鮮」とし、都を平壌(ピョンヤン)に定めました。
太王四神記
檀君神話は、韓国では子どもから大人まで広く知られている神話で、今でも檀君のことを「檀君ハラボジ(おじいさん)」と親しく呼んだり、「有史以来」といった言葉も「檀君以来」などと言われます。
古朝鮮を背景とした歴史ドラマの中では、ペ・ヨンジュン主演で大ヒットしたMBCドラマ「太王四神記(テワンサシンギ)(2007年)」が檀君神話をベースとしています。
桓雄に扮した白髪のヨン様を記憶している方も多いのではないでしょうか?
檀君を祀った「檀君祀堂(タングンサダン)」は、韓国各地にあります。
ソウル中心部では社稷(サジッ)公園が有名です。人気スポット景福宮(キョンボックン)にも近いので、韓国の歴史に興味があれば併せて訪れてみるのもおすすめ。
社稷公園をはじめとして、毎年10月3日には韓国各地で開天節の記念行事が行なわれます。
建国を記念し国の歴史に思いを馳せる日
「天が開く」という言葉には、「天から桓雄が降臨した」「檀君が天を開いて国を建てた」など様々な意味が含まれています。
日本の植民地支配から解放後、大韓民国を樹立し開天節を制定する際、その名称を「建国記念日」ではなく「開天節」としたのは、韓国の国民にとって象徴的な意味が大きいと判断されたためです。
韓国の古書「三国遺事(サムグッユサ)」には、檀君は「広く人間世界に利益をもたらし共存する」という意味の「弘益人間(ホンイッインガン)」を建国理念として掲げたという内容があります。
韓国の人々にとって開天節は、そんな檀君が目指そうとした国の姿、そして自国の歴史に思いを馳せる機会となっています。
提供・韓国旅行コネスト
【こちらの記事も読まれています】
>韓国の飲酒文化
>韓国のパン文化
>日本から韓国への送金
>韓国での仕事の探し方&履歴書の書き方
>スターと兵役 2020