フットワークが軽い独身のうちに転勤を経験して
その貯金で結婚・出産後のキャリアを伸ばす

ただし現実問題として、結婚や出産をした女性の転勤となると、夫や子どもとの生活をどうするかという問題が生じる。会社側は結婚・出産後の女性の転勤について、どのように対応しているのだろうか。

「現時点では、制度やルールを作るというより、男女関係なく個別の対応をする場合がほとんど。例えば、子どもが小さいうちの数年間は転勤を見合わせ、子どもの手が離れたらまた転勤の候補者にする、といった対応が一般的です」

近年の女性活用の動きもあり、企業から「転勤が難しい育児期の女性が増える中で、どうやって女性社員に経験を積ませればよいのか」という相談が増えている。そんなとき、廣川さんは「まだ独身者が多い20代のうちに、どんどん転勤させては?」とアドバイスしている。

「結婚前のフットワークが軽いうちに転勤して経験を積み、どうしても転勤できない育児期の数年間は20代の貯金でキャリアを伸ばすのが現実的だと思います。いわば女性の20代は『ワーク・ワーク・バランス(※)』を実践すべき時期。今現在の“ワーク”と、30代以降の仕事を充実させるための貯金となる“ワーク”を、バランスよく経験することが大事なのです。そうして初めて、30代以降の『ワーク・ライフ・バランス』が実現可能になるのではないでしょうか」
※大和総研コラム『20代は「ワーク・ワーク・バランス」を重視しよう』(2013年3月18日)参照。

つまり、出産後も長く働き続けたいのであれば、結婚前こそ転勤を経験するチャンスということ。女性の側もただ感情的に「転勤はイヤ」と考えるのではなく、将来のキャリアにつながるものとして冷静に受け止める視点が必要だろう。安倍政権の女性活躍推進によって、企業も女性管理職を積極的に登用する姿勢を見せているが、だからこそ「女性社員も幅広い経験をして組織全体のことを知り、経営に近い視点から物事を見られるようになってほしい」と思っている。今は管理職を目指すかどうか迷っていたとしても、転勤を経験しておくことで、確実に未来の選択肢は広がることになるのだ。これからは女性たちも、転勤についてもっと前向きにとらえてみてはいかがだろうか。

著者名

株式会社大和総研
主任コンサルタント
廣川明子さん

大学在学中の1997年に社会保険労務士の資格を取得。大学卒業後、外資系生命保険会社に入社し、人事制度改定、社内研修および社内広報に関する実務経験を積む。業務の傍ら社会人大学院(法政大学大学院経営学研究科人材組織マネジメントコース)にて人材と組織の理論について学ぶ。その後、2007年8月より大和総研に転職し人事制度コンサルタントとして幅広い業界での人事戦略・制度設計支援を手掛ける


提供・働く女のワーク&ライフマガジン『Woman type』(長く仕事を続けたい女性に役立つ、キャリア・働き方・生き方の知恵を発信中)

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