転職したいと思いながらも、「辞めたらどう思われるかな」、「私が抜けたら仕事が回らないかも」と悩み、辞め時を逸してしまっている人は意外と多いもの。周囲に配慮するのは悪いことではないが、転職タイミングをずるずると逃し続けてしまうと、後になって後悔する可能性も……。そこで、12回の転職を経て現在は経済評論家として活躍している山崎元さんに、ベストな退職方法について伺った。

“後悔回避症”の人にありがち?
転職に踏み切れない人の特徴とは

「辞めたいのに辞められない。そういう人は、周囲に気を遣っているように見えて、実は、物事の優先順位を自分でつけられない人かもしれません。今いる職場の人からも良く思われたいし、キャリアアップもしたい。誰かが決めてくれれば動けるが、自分では決められない。八方美人、優柔不断なタイプの人にも多い傾向と言えるでしょう」

と、山崎さん。人には、「自分で決めて失敗したくない」と考える「後悔回避」という心理現象があり、転職へと踏み切るための判断力を鈍らせるのだという。

また、「周りに迷惑が掛かるかも」という気持ちも、自分で意識的に切り捨てなければ、いつまでも転職には踏み切れない。

「転職は自分の権利、その穴を埋めるのは会社の義務です。『自分が辞めたら職場の人に迷惑が掛かるかも』ということは、考えなくても大丈夫。人材の確保や配置の責任者は、マネージャーなどの上司にあるものです。自分にとって転職するのが一番だと思うのなら、今の職場への迷惑は考えすぎないこと。辞め方で誠意を示し、できるだけ感じ良く退職すればいいだけです」

「ベストな辞め時」は無い!
自分が転職したいと思う理由が最優先

「転職する」という決意が固まれば、いつ会社を辞めるのかを具体的に決める必要が出てくる。そこでまた、「自分と会社にとってベストな転職タイミングとはいつなのか」を考えてしまい、辞め時を失っている人も多いという。

「正直なところ、『ベストな辞め時』というのは無いものです。会社がどのような状況にあろうと、転職に良い時期も悪い時期もありません。自分の側の状況から考えてみても同様、大事なのはタイミングではなく、自分が転職したいと思う理由です」

そうは言っても、「転職時期の目処が立てられない」と悩む人もいるだろう。そんなときは、自分にとって何が重要なのかを明確にすることが効果的だそう。

「自分が今後の人生で実現したいことや、仕事で重視することなどを紙に書き出して、何が大事か順番を付けてみると良いでしょう。そうすれば、一刻も早く転職すべきなのか、まだ数年後でも良いのか、大まかな目処が分かるはずです」

ただ、「未経験分野への転職というケースだけは、先延ばしにしない方が良い」と山崎さん。

「転職を経て長期的なキャリアを形成していくことを考えると、未経験分野への転職時期は早いにこしたことはありません。特定の分野で能力を磨き、ビジネスパーソンとしての実績を積んでいくためにも、だらだらと転職を先延ばしにしてしまうのはNGです。28歳くらいを目処に転職しておくのが望ましいでしょう」