仕事・収入・幸福度の相関関係は?
私のベストバランス

仕事が楽しければ、収入が低くても幸せ? 収入が高ければ、忙しくても幸せ? 幸せに働く「ベストバランス」は、意外と分からないもの。そこで、さまざまなキャリアの転機を経験してきた女性たちにインタビュー。仕事・収入・幸福度の相関関係について調べてみました!

出産後も働き続けることは、女性にとって当たり前の選択肢になった。

しかし、実際に出産を経験するまでは、産休・育休の取得が自分の収入やキャリアににどう影響するのか、具体的なイメージが湧かない人も多いだろう。

「かつては、妊娠はキャリアの壁だと感じていました」

そう明かすのは、現在、IT企業に勤めながら育休コミュニティ『MIRAIS(ミライズ)』を運営する栗林真由美さん。

「妊娠はキャリアの壁」と感じた私が二度の育休で学んだ、ネガティブを転機に変える超シンプルな方法
(画像=栗林真由美さん
1982年生まれ。2005年、IT企業に入社。2014年第一子出産、2018年第二子出産。2018年育休中に、自身の経験から産育休者向けのコミュニティ『MIRAIS(ミライズ)』を立ち上げ。「なんとなく過ごす育休をなくす」をヴィジョンに掲げ、有意義な育休を過ごすことのできるよう産休・育休中の人々がつながり、あらゆることに挑戦し合う場を提供している。そのほかにも、2021年4月からはワーママ向けアカデミーを開講し講師を務めるなど、「子どもを持ちながらキャリアをあきらめない女性」を増やすべく、精力的に活動している。
◆Instagram ◆ブログ、『Woman type』より引用)

現在は二児の母である彼女だが、第一子を妊娠した時には、育休でブランクができることで、今まで仕事で積み上げてきたことがまっさらになってしまうような不安に襲われたという。

二度の出産、育休を経て、栗林さんが考えるベストバランスはどのように変化してきたのだろうか?

収入、キャリア…育休で何もかも無くすのが怖かった

「妊娠はキャリアの壁」と感じた私が二度の育休で学んだ、ネガティブを転機に変える超シンプルな方法
(画像=『Woman type』より引用)

ーー育休コミュニティ『MIRAIS』の運営と、IT企業での仕事、ワーママ向けのアカデミー、さらに子育てもされていますが、毎日かなり多忙では?

確かに忙しいかもしれません(笑)。ただ、私は働くことが大好きなので、全く辛くはないですね。むしろ自身のビジョンでもある「子どもを持ちながらキャリアをあきらめない女性を増やす」ことに自身の活動がつながっているので、本業も『MIRAIS』もアカデミーも子育ても全てやりがいがあります。

今勤めているIT企業には新卒で入社したのですが、就職活動では業界問わず100社以上を見て回って選びました。

それくらい学生の頃から「働く」ということに情熱を持っているんです。

ーー100社も! グラフを見てみると、入社時にすで幸福度が100点ですね。会社選びでは何を重視されていたのでしょうか?

新卒当時、会社選びの軸としていたことは大きく2つあります。

1つ目は女性がイキイキと働き続けられるか? 2つ目は自分がおもしろい・興味がある事業内容か?

これらを軸に、業界、業種問わずいろんな会社に足を運び、自分自身でその軸に合うかどうかを確かめていました。

ーー当時は収入についても重視していましたか?

収入はさほど重視していませんでした。それよりも、先ほどお答えした自分の中の会社選びの軸を最優先にしていたので、納得して入社できたと思います。

入社後は、個人や法人向けサービスのディレクターとして、企画段階からリリース後の効果測定まで、現場で取りまとめていました。スピード感がある仕事で、大変ではありましたがやりがいも大きかったですね。

ーーその後、2012年にどん底まで幸福度が落ちているようですが、一体何が?

チームを異動したタイミングですね。それまでは第一線で働いていたのに、異動先ではサポートに近いポジションになってしまって……。

ですが、悩みながらも仕事を続けた結果、翌年には新規事業部門への異動の機会に恵まれたんです。

社内で最も勢いのある新事業に関わる部門で、まるでベンチャー企業のようでした。当時の私は入社9年目。

それまでの経験を生かしながらも「よし、またここで新しいことに挑戦するぞ」と意気込んでいました。これまでのキャリアの中で、最も仕事に熱を注いでいた時期かもしれません。

そんな時、妊娠が発覚したんです。

ーー妊娠が分かった時の心境は?

正直なところ、ものすごく落ち込んでしまいました。

もちろん子どもを授かったことは喜ばしいこと。でも、うれしかったのは妊娠検査薬で陽性を確認したその瞬間だけでした。当時の私は、出産のために産休・育休を取るということを、キャリアを阻む壁だと思っていたんです。

育休から復帰して第一線で働いている女性が周囲に少なかったので、子どもを産んでもこれまで通りに働ける、自分が描く理想のキャリアを積んでいけるなんて、到底思えませんでした。

ーー幸福度が下がり切ったまま、産休を迎えたんですね。

はい。それまでは会社から役割を与えられて、必要とされている実感がありましたが、休みに入った途端にそれが一気になくなって、社会から疎外されたような感覚に陥ったことを覚えています。

ーー産休育休期間は必然的に収入も下がりますが、当時は年収ダウンすることをどう感じていましたか?

育休中の年収ダウンについては、正直「やむ無し」と捉えていました。むしろ働いていないのにいただけるだけありがたいと感じていたくらいです。

「妊娠はキャリアの壁」と感じた私が二度の育休で学んだ、ネガティブを転機に変える超シンプルな方法
(画像=出産後、時には我が子と一緒に登壇することもあった。、『Woman type』より引用)

ですが、ネガティブだった気持ちも、子どもが産まれてからは一気に変わっていきました。

子どもは本当にかわいくて、こんなに愛おしい存在が私のことをずっと見ていてくれるんだから、私は私らしく幸せに生きなきゃ、と思えたんです。子どもにやりたいことを諦める背中を見せるなんて格好悪いな、と。

そう思えてからは、育休中でも参加できる勉強会やプロジェクト、セミナーを探して積極的に足を運びました。少しでも有意義な時間を過ごして、復職後に生かしたいと思って。

その結果、復職から1年ほどで昇格することができました。

ーー2017年にまた少し幸福度が下降していますね。これはなぜでしょうか。

勤め先の分社化に伴って、またもや異動となったんです。異動先は経営戦略を策定する部署で、現場主義だった私にとってはピンとこなかったんですよね。それまでは「事件は現場で起こっているんだ!」という精神でやってきたので(笑)

第二子の妊娠が発覚したのも、ちょうどこの頃です。

ーー第二子の妊娠が分かった時にはどんなお気持ちだったのでしょう?

一人目の時とは全く違って、冷静に受け止められたように思います。それも、やはり第一子の育休の時の経験があったおかげ。育休を有意義な時間にできる、という確信があったんです。けれど第一子の時と同じような過ごし方には興味はありませんでした。

「なんとなく過ごす」育休をなんとかしたい、という思いが強まって、育休コミュニティ『MIRAIS』を立ち上げたのも第二子の育休中。復職後は昇格や本社への出向を経て、年収も上がりました。

今年に入ってからは育児をしながら働く女性向けのアカデミーを立ち上げるなど、会社員以外での活動の幅も広げているところです。仕事も育児も楽しめている今の状況を、とても幸せに感じています。