「天真爛漫」の意味を知っていますか?何となく意味を理解しているつもりでも、正確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。「天真爛漫」という言葉を正しく使う為に、この記事では意味や由来、実際に使える例文紹介まで、とことん掘り下げて解説していきます。
「天真爛漫」の意味は?
「天真爛漫」の意味は純粋で素直という事
「天真爛漫」の意味は、純粋で素直な様子を表しています。自然体で飾り気がなく、ありのままの様子を指している四字熟語です。主に子どもや、大人の女性を褒める表現として使われます。また、動物や芸術作品を褒める表現としても使われます。
「天真爛漫」の「天真」の意味は自然で飾らない事
「天真爛漫」という言葉は「天真」と「爛漫」の二つの言葉の組み合わせによって作られている四字熟語です。まず「天真」は「天」より与えられた「真」の性質という二つの漢字を合わせて意味を持ちます。そこから「生まれた時のままのように純粋で飾り気のない性質。」という意味になります。
「天真爛漫」の「爛」の意味は形が崩れる事
「爛漫」に使われる漢字には「天真」とは違い「爛」と「漫」それぞれの漢字の由来から「天真爛漫」の由来につながる意味があります。
まず「爛」は「火」に「闌」で、「闌」は「門」と「柬(かん)」で意味を表します。まず「柬」は「束(たば)」に「八印」という左右二つに分けたさまを意味する漢字を組み合わせたもので、束ねたものをより分けるという意味があります。これらから「柬」には、「選別する。」「ひきしめる。」という意味があります。
その「柬」に「門」がついて「闌」は出入りを選別する門となり、「さえぎって防ぐ。」という意味を持ちます。これ火にがついて「爛」となり、火によって燃えてしまうため門の役割がまっとうできなくなることから、「形が崩れる。」「あふれでる。」という意味になります。
「天真爛漫」の「漫」の意味は水が長く広がっていく事
「漫」は「水(さんずい)」に曼と書きます。曼は「垂れ幕」と「目」と「又(て)」で垂れ幕を目の上にかぶせて垂らすことを表し「ずるずると長く尾をひいている様子。」という意味を持ちます。この意味に「水」がついて「漫」は、水がずるずると長く広がっている様子を表して「一面を覆う。」という意味になります。
そして「爛」と「漫」の二つの漢字が合わさって「爛漫」という言葉になると「形や枠にとらわれることなく広がっている様子。」という意味になり、花が咲き乱れる様子や光があふれんばかりに輝く様子を表した意味ができあがります。
「天真爛漫」の四字熟語の由来は?
「天真爛漫」の由来は中国の随筆
「天真爛漫」の由来は中国の随筆集です。元(げん)の時代に陶宗儀(とうそうぎ)によって著された、当時の風俗や歴史などが記載されている「南村輟耕録(なんそんてっこうろく)」または「輟耕録(てっこうろく)」という書物です。
この「南村輟耕録(なんそんてっこうろく)」に絵のできばえを評した一文があり、その文の中に「天真爛漫」と表記されています。文を現代語訳すると「かつて私は花の絵を描き、幅3メートル余り、縦15センチメートルほどの作品を仕上げたが、飾り気がなく世俗を超えたできばえだった。」という意味になります。
こうして、とても素晴らしい絵を評価して、心の赴くまま屈託のない作品が出来上がった様子を褒めた事が「天真爛漫」の由来と言われています。この由来から本来「天真爛漫」は芸術作品を褒めるための言葉としての意味を持っています。
「天真爛漫」が日本で使われ始めたのは落語
「天真爛漫」由来の元となる「南村輟耕録」が日本に渡ったきっかけは、江戸時代の小説に翻案されたことと、落語の元ネタとして使われたことがきっかけと言われています。
「天真爛漫」の類語は?
「天真爛漫」の類語①天衣無縫
「天真爛漫」の類語として、1番多く目にする四字熟語は、「天衣無縫(てんいむほう)」です。「いつも自然体である。」という意味があります。
「天真爛漫」の類語②純粋無垢
「天衣無縫」の他には「純粋無垢(じゅんすいむく)」という四字熟語も「天真爛漫」の類語になります。「素直で純真であること。」という意味があります。
「天真爛漫」の類語③純真無垢
「純真無垢(じゅんしんむく)」という四字熟語も「天真爛漫」の類語になります。純粋無垢と同じ「素直で純真であること。」という意味があります。
「天真爛漫」の類語④純一無雑
「純一無雑(じゅんいつむざつ)」という四字熟語も「天真爛漫」の類語になります。「純粋で混じりけがないこと。」という意味があります。
「天真爛漫」の対義語は?
「天真爛漫」の対義語は「奸佞邪知」
「天真爛漫」の対義語には「奸佞邪智(かんねいじゃち)」という四字熟語があります。「奸」は「姦」、「智」は「知」とも書き「姦佞邪知」と表すことがあります。また「奸佞」と「邪智」を入れ替えて「邪智奸佞(じゃちかんねい)」と表すこともあります。
対義語の「奸佞邪智」は「ずるい」という事
対義語の「奸佞邪智」には、「心がひねくれてずる賢く立ち回る。」「悪賢い人。」という意味があり、まさに天真爛漫と対義関係です。
対義語の「奸佞邪智」の由来は「悪知恵」
ずるい 「奸佞邪智」の「奸」は「心がねじけている。」、「佞」は「口先や態度は巧みだが心はねじけている。」、「邪智」は「悪知恵。」という意味があり対義語の「奸佞邪智」の由来になっています。
「天真爛漫」を英語で表現した時は?
「天真爛漫」を英語で表現すると「innocence」
「天真爛漫」は英語で「innocence」と表現します。また「harmless」や「childlike」などは文字通り、「天真爛漫」と同じ意味合いがある英語表現とされています。
「innocence」と表現する由来は「罪がない」という事
「innocence」は「罪がない。」という意味から「天真爛漫」な事を指す言葉とされています。しかし、一方で「無知。」や「お人好し。」という意味もあります。これが「天真爛漫」に含まれるマイナスなニュアンスの元になっています。
「天真爛漫」を英語で表現した時の例文
「天真爛漫」を英語で表現した時の例文を紹介します。使用している単語は違いますが、日本語訳にすると全て「無邪気」になります。
例文
「innocence」を使って Children are innocent.(訳)子ども達は無邪気だ。
「harmless」を使って She was a harmless girl.(訳)彼女は無邪気な少女でした。
「childlike」を使って She does a childlike behavior.(訳)彼女は無邪気な行動をする。