すばらしい食器ブランドが数多く存在する、紅茶の国・イギリス。中でも、200年以上もの歴史を持つ「エインズレイ(Aynsley)」は、アンティークファンを中心に、イギリスのみならず世界中の人々に愛されています。

本記事では、老舗食器ブランドであるエインズレイの歴史と食器ブランドとしての魅力、さらにおすすめのシリーズをご紹介します。

エインズレイの歴史

イギリス王室御用達食器ブランド『エインズレイ(Aynsley)』の魅力とおすすめシリーズ3選
(画像=Cafendより引用)

ヴィクトリア女王の時代からイギリス王室御用達の認定証「ロイヤルワラント」を授与されていたエインズレイは、イギリスを代表する食器ブランドのひとつです。その歴史についてご紹介します。

エイズレイのはじまり

エインズレイは、1775年に炭鉱経営者であったジョン・エインズレイによって創立されました。ジョン・エインズレイは陶磁器の熱烈なコレクターでしたが、趣味が高じた末にロングトンに製陶所を設立し、自ら陶磁器の生産に乗り出します。彼の陶磁器への熱意は冷めるどころかますます高まり、生涯を通してラスター彩と呼ばれる金属的な輝きを放つ陶器を作り続けました。

イギリス王室御用達食器ブランドに

エインズレイ創立者のジョン・エインズリーが亡くなると、息子のジェームズ・エインズリーがその後を継ぎます。しかし、エインズレイがイギリスを代表する食器ブランドとして国内外で高い評価を得るようになったのは、ジェームズの息子ジョン・エインズレイ2世の時代でした。

9歳で家業を手伝うようになったジョン・エインズレイ2世は、初代と同じく陶磁器作りに情熱を注ぎ、やがてボーンチャイナを生産するようになります。やがて熱心なボーンチャイナ収集家たちの目に留まるようになったエインズレイは、1861年にポートランド・ワークスとして知られる新たな工場を建設し、食器ブランドとしての最盛期を迎えました。

その後、エインズレイは1896年にヴィクトリア女王の肖像画を描いた食器を製作します。さらに、アールデコ様式のチューリップシェイプのティーセットをメアリー王妃に納め、イギリス王室御用達食器ブランドとして不動の地位を築き上げました。

アンティークファンを魅了してやまないエインズレイ

イギリス王室御用達食器ブランド『エインズレイ(Aynsley)』の魅力とおすすめシリーズ3選
(画像=Cafendより引用)

たくさんあるイギリスの食器ブランドの中でも、フェミニンでエレガントなアイテム揃いのエインズレイ。

アンティークファンにも人気が高いエインズレイですが、その魅力とはいったいどのようなものなのでしょうか?

エインズレイの代名詞「ファインボーンチャイナ」とは?

エインズレイを高級食器ブランドたらしめたのは、ファインボーンチャイナ作りによるところが大きいでしょう。ボーンチャイナとは牛の骨灰(ボーンアッシュ)を使って作られた磁器のことを指しますが、白い磁器を作るのに欠かせないカオリンと呼ばれる粘土が手に入らなかったイギリスでは、カオリンの代わりに牛の骨灰が使用されるようになります。

ボーンチャイナは、1781年から約8年もの歳月をかけて、スタッフォードシャーにある陶磁器メーカー・スポードの創立者ジョサイヤ・スポードが改良を重ねて完成させました。間もなくスポード以外にも、ミントン、コールポート、ロイヤルクラウンダービー、ロイヤルドルトン、ウェッジウッド、ウスターといったイギリスの主要な食器ブランドがボーンチャイの製造を行うようになります。

しかし、エインズレイが作るボーンチャイナは、ほかと一線を画していました。日本では骨灰を30%以上含むものをボーンチャイナと呼びますが、骨灰を50%以上含むものをファインボーンチャイナといい、ボーンチャイナの中でも最高級品とみなされています。

エインズレイのファインボーンチャイナは象牙色をした柔らかな質感で透光性が高く、その美しさゆえに昔もいまも多くの人々を惹きつけてやみません。

エインズレイを支えたデザイナーたち

イギリス王室御用達食器ブランド『エインズレイ(Aynsley)』の魅力とおすすめシリーズ3選
(画像=Cafendより引用)

エインズレイには優れたデザイナーが集まりました。アンティークファンに人気が高いエインズレイですが、同じ手描きの作品でもデザイナーによって取引価格が大きく異なります。

エインズレイのデザイナーの中でも、1938年から1969年にかけて活躍したドリス・ジョーンズ、1935年から1975年まで活躍したナンシー・ブラント、そして1937年から1974年まで活躍したジョセフ・A・ベイリーらがとくに有名です。

ナンシー・ブラントはフルーツとベリーのデザインを得意とし、ドリス・ジョーンズとの共作も多かったといわれています。また、花を描くのを得意としたジョセフ・A・ベイリーの作品はキャベツローズと呼ばれる大きなピンク色のバラのデザインでよく知られています。

しかし、ジョセフ・A・ベイリーがデザインしたのは、花のパターンだけではありませんでした。エインズレイのアンティークファンの間でもっとも需要が高い彼の作品ですが、2007年にはカナダの風景を描いた作品が、48,000カナダドル(日本円で約430万円以上)で売買されました。