社会人になって貯金額が増えてくると、投資をやってみたいと思うのは自然な流れですが、世の中には多くの投資商品があり、どれを始めたらいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、初心者にも比較的安心な資産の運用法をご紹介します。

100万円から始められる資産運用の種類

「資産運用はお金持ちがやること」というイメージを持っている人は多いかもしれません。

しかし、実際は100万円からできる資産運用はたくさんあります。世の中にはそれこそ少額から買える金融商品も豊富にありますし、「積み立て」のように毎月少しずつのお金をコツコツ出していく投資方法もあります。

ただし、投資をするにあたって必ず覚えておいていただきたいのが、リターン(利益)がある金融商品にはそれ相応のリスクがあることです。リスクが低いのにリターンが大きい商品はありません。資産運用で資産が減ってしまうこともあることは充分に認識しておきましょう。

ここでは、投資初心者の方でも比較的安全にできる資産運用をリスクの度合いに分けて紹介します。

表1.資産運用の種類とそのリスク

リスクの度合い 商品の分類
ローリスク ・定期預金
・国内債券
ミドルリスク ・外国債券
・金
ハイリスク ・株式投資
・インデックス・ファンド
・ETF

次からそれぞれを詳しく解説していきます。

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FPがおすすめする100万円資産運用商品ランキング!  

では、具体的に100万円の資産があったら運用してみたい商品を、ランキング形式でご紹介します。これらの商品は、売買手数料や口座管理手数料が比較的低く、投資初心者の方にも内容がわかりやすいものを中心に選んでいます。

第1位:個人向け国債(国内債券)

国内債券は基本的に元本が確保されていますし、預貯金と比べると、同じ期間であれば一般的に国内債券のほうがお金を増やすことができます。

債券を発行する国や企業を「発行体」と呼び、国が発行する債券を「国債」、会社が発行する債券を「社債」と呼びます。その他、地方自治体が発行する「地方債」もあります。

債券の運用で最も気をつけなければならないのが、発行体の破たんです。預貯金であれば1,000万円とその利子までは保護されますが、債券にはそのような保証はありません。

国内債券で最も信用力が高いのは、「日本国債」です。利子は低いものの、それでも大手の定期預金よりは高く、また安全性も高い商品です。個人向けに販売されている「個人向け国債」は、銀行や証券で預貯金の延長という感覚で気軽に買えます。

これまで貯金しかしてこなかった人にとって、証券会社に口座を作ることは1つのハードルですし、お金が減るかもしれない商品を買うとなればなかなか一歩を踏み出せないものです。

「個人向け国債」は安全性も預貯金と比べ遜色ありませんので、投資初心者の方が実際に投資用の口座を開設して資産運用を始める最初の一歩としておすすめです。

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第2位:インデックス・ファンド

「ファンド」は投資信託のことで、これはみなさんから集めたお金をプロが運用して、出た利益をみなさんに配分する商品です。プロが株や商品を選んでくれるのは魅力的ですが、その分手数料が高いというデメリットもあります。

そんな投資信託ですが、中には比較的手数料が安いものがあります。それが「インデックス・ファンド」と呼ばれる商品です。インデックス・ファンドは、TOPIXや日経平均株価などの株価指数(インデックス)に連動するように運用されています。運用するプロは、指標の算出に採用されている銘柄を選べばいいので、その分手数料が安く設定されているのです。

インデックス・ファンドのいいところは、日経平均株価などよく目にする指数に連動しているので、自分が今持っている投資信託がどうなっているのか、普段の生活でも確認しやすいことです。また、少額で投資できるのも特徴で、ネット証券などでは100円から販売しているところもあります。

積み立て投資も可能で、特に長期的にコツコツ運用していく投資方法に向いています。これまで積み立て貯金をしたことがある人なら、少額からつみたて投資を始めてみるのもいいのではないでしょうか。

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第3位:株式投資

株式投資は最も一般的な投資対象で、投資といえばまず「株」を思い浮かべる人も多いと思います。

株式も債券と同じく会社が資金を集めるために発行する「有価証券」ですが、債券は満期になると返済されるのに対し、株式では企業から資金が返済されることはありません。その代わり、株主は企業の利益の一部を配当という形で受け取ることができます。

前述したように、株は100株単位を1単元としているので、1社の銘柄を買うには数万円から数十万円かかることがあり、少し敷居が高い金融商品となっています。分散効果という点で見れば前述の投資信託の方が優れているでしょう。

しかし、保有できる銘柄は少なくても、自分が好きな分野や応援している会社の株を持つことは意義を感じることですし、興味がある会社であれば企業情報や株主優待情報など調べるのも楽しくなるかもしれません。

株には「低い時に買って高い時に売って大きな利益を狙う」というイメージがあるかもしれませんが、投資初心者は買った株をじっくりと保有し、配当や株主優待を受け取りながら、株価が上がったタイミングで売るというスタンスで株を始めることをおすすめします。

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第4位:外貨建MMR(外国債券)

ここまでは主に投資対象が国内のものでしたが、日本の先行きに不安を感じている人なら海外を対象にした金融商品に投資したいと思うかもしれません。外国の商品というと外貨預金が有名ですが、ここでは外国債券に投資する外貨建MMFという商品をご紹介します。

外国債券は、外国の政府や企業、または国際的な金融機関が発行する債券です。日本国内の預貯金や債券よりも高い利子が得られ、また為替変動でも利益を得ることができます。ただし、外国債券で期待できるのは主に高い金利による利益で、為替による利益はおまけ程度と考えておきましょう。信用リスクと為替リスクを同時に管理するのは大変だからです。

外貨建MMFは投資信託の一種ですが、投資対象は高い格付けの(=信用が高い)優良企業の社債や国債などです。外貨預金に比べ手数料が安く、少額から購入できるというメリットがあります。

外貨建MMFの対象にはさまざまな国がありますが、リスクを低く抑えるためにも先進国のものにしておくほうが良いでしょう。金利は低いですが、それでも日本国債に比べれば高いものが多く、米ドルやユーロなどであれば大きく変動するリスクも抑えられます。為替の変動によっては売ると損失が発生する時期があるので、長期的にじっくりと保有するつもりで始めましょう。

高い金利による利益を得つつ、円安になったときに売却するといった運用がおすすめです。

第5位:金

最後にご紹介するのは特殊な商品の「金」です。

株や債券、そして紙幣も、突きつめればただの紙なので、それ自体はほとんど価値はありません。こういった紙になぜ価値があるのかというと、国や会社が価値があるものと保証してくれているからです。つまり、ほとんどの金融商品は誰かへの信用で成り立っているといえます。

しかし、金はどうでしょうか。金には量に限りがあるため、世界中のほとんどすべての人が価値があるものと知っており、誰かに価値を保証してもらう必要もありません。日本とまったく交流がなく日本円が使えない場所では、100万円あっても食事ができるかわかりませんが、金を持っていればとりあえず食料と交換はしてもらえそうです。

投資先としてはもしものことが起こった時に頼りになり、不況になっても価値が変わらないどころか、価格が上がる傾向にあります。

ただし、利子がついたり配当をもらえたりすることはないので、金を持っているだけでメリットはありません。なので、あくまで万が一の時のために、純金積立などを利用して月々数千円程度でもいいので少しずつ買い続けるようにしましょう。

初心者が100万円で投資をはじめるのに辞めておいたほうがよい商品

これまでご紹介してきたおすすめの金融商品は、手数料が比較的安く、わかりやすいことが特徴でした。逆に、投資初心者の人は、①手数料が高い、②値動きが激しい、③内容がわかりづらい、の3つのうちどれかに当てはまるものは辞めておくほうが無難です。具体的には以下のような商品です。

表2.100万円から始めるのに向かない金融商品

手数料が高い商品 アクティブファンド、外貨預金など
値動きが激しい商品 FX、信用取引、仮想通貨など
内容がわかりづらい商品 仕組み預金、変額年金保険、リスク軽減型投資信託など

おトクに資産運用を始める制度を2つ紹介

つみたてNISA

資産運用で無事にお金が増えても、その増えた利益には税金がかかります。しかし、その税金が軽減されおトクに資産運用ができる制度が2つあります。1つが「つみたてNISA」です。

つみたてNISAは名前の通り、毎月数千円~数万円ずつ積み立て方式で投資をします。対象となる商品は国が長期的な資産形成に向いていると厳選した投資信託(インデックスファンドがメイン)です。1番の特徴は20年間運用益が非課税で投資ができること。通常であれば100万円のお金が110万円に増えると、増えた10万円に対し約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用するとこの税金がかかりません。

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iDeCo(個人型確定拠出年金)

おトクなもう1つの制度が「iDeCo」です。iDeCoはさらに税制面で優遇されており、運用益が非課税なのに加え、投資に回したお金が全額所得控除になります。所得控除とは、要するにiDeCoに出したお金の分税金が安くなることです。

自分の所得の何パーセント税金がかかるかという税率はその人の所得によって変わりますが、仮に年間20万円iDeCoに投資している人の所得税が10%、住民税が10%の場合、20万円の20%である4万円税金が軽減されることになります。

このように、税制面ではiDeCoはつみたてNISAより優遇されていますが、つみたてNISAがいつでも投資信託を換金できるのに対し、iDeCoは原則60歳までお金を引き出せません。どのぐらいiDeCoに資金を回すかは、より慎重に決める必要があります。

資産運用の最大の目的は「リスクの分散」

資産運用の目的は「リスクを分散すること」、つまり資産を守ることです。預貯金だけで資産を守れない理由は、将来インフレになるリスクに対応できないからです。また株式投資で1社の株だけに投資するのが危険なのは、その会社が倒産すると大きな損失が出てしまうからです。

これから資産運用を始める人は「資産を守る」という目的を忘れず、将来自分にはどんなリスクが想定でき、それを回避するためにはどのような商品に資産を配分すればいいかを考えながら、運用を行いましょう。

投資はあくまで余剰資金で

投資を始める前には、必ず生活費の3~6ヵ月分の貯金を確保しておきましょう。というのも投資に回しているお金というのは一時的に価値が下がっていたり、一定期間換金できなかったりと、基本的にお金が必要な時にすぐに使えるものではないからです。

もし病気や事故などで急にお金が必要になった時、すべてのお金を投資に回していたら、損失が出ているのに仕方なく売却する羽目になったり最悪借金をしたりしなければならないかもしれません。投資はすぐに引き出せる預貯金などの緊急生活費金が十分に貯まってからするようにしましょう。

資産運用に期待しすぎないことも大切

資産運用というと、お金が10倍や100倍に増えることを期待する方もいますが、現実にはそんなことは滅多に起こりませんし、大きな利益を狙えば狙うほど損失も大きくなるものです。今回は比較的安全で手数料が低いものをご紹介しているので、これらを中心にまずは堅実に資産運用を始めてみてください。

松岡紀史
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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