PDCAサイクルは、仕事をするうえで基本となる手法のひとつです。「PDCAを回して仕事をしましょう」と言われたことがある人も多いと思います。とはいえPDCAサイクルという言葉は知っていても、実践できていない方は意外と多いのではないでしょうか? 

PDCAサイクルは多くの企業が導入して、問題の解決に一定の効果をあげています。

また同じような効果があるため、PDCAサイクルと混同されやすい手法に、OODAループがあります。「PDCAは古くてこれからはOODAの時代だ」という声もありますが、この記事ではPDCAサイクルの意味や具体的な事例とともに、OODAループとの違いや使い分け方などを解説します。

PDCAサイクルとは?意味や企業事例、OODAループとの違いを紹介
(画像=『さくマガ』より引用)

PDCAサイクルとは

PDCAサイクルは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)の頭文字をつなげた用語です。アメリカの統計学者デミング博士が提唱したため、「デミングサイクル」とも呼ばれます。

PDCAサイクルを活用することで、業務管理や品質管理などを改善できます。

PDCAサイクルの回し方は、とてもシンプルです。「Plan→Do→Check→Action」のステップで回していきます。

Plan(計画)

Planでは、まず業務管理や品質管理などに関する課題を見つけて、見える化をします。そして社員間で情報共有をおこない、共通認識を深めていきます。そのうえで課題を解決するための情報を収集し、具体的な計画を立てます。計画は5W1Hに沿って考え、KGIとKPIを定量化しておくことが大切です。

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Do(実行)

Doでは、立てた計画を実行に移します。実行しながら、その結果を記録しておくことが重要です。また「◯日までに◯◯をやります」と周りに宣言するなど、実行するための仕組みづくりをすることで、やりきる力がつくかもしれません。

Check(検証)

Checkでは、立てた計画に則って、計画通り実行できたのかを確認します。先ほども書きましたが、Checkのためにも実行したことを記録しておくことが大切なのです。実行できていれば、その結果を計画と比較して、課題解決のために効果的であるかどうかを見極めます。

Action(改善)

Actionでは、Plan・Do・Checkで得られた結果を検討して、改善点を洗い出します。それをもとに次のPlan(改善案)を考えます。こうして継続的にサイクルが回っていくのです。

幕末時代の学者で、勝海舟や吉田松陰の師匠でもある佐久間象山は「失敗するから成功がある」と語っています。

仮に失敗したとしても、改善を繰り返しおこなうことで、成功に近づけるかもしれません。PDCAサイクルは一度だけで終了させるのではなく、繰り返しおこなうことが大切です。

PDCAサイクルの企業事例

PDCAサイクルとは?意味や企業事例、OODAループとの違いを紹介
(画像=『さくマガ』より引用)

PDCAサイクルを回すことで、成功をおさめている日本企業の事例をご紹介します。トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)です。2019年3月期の連結決算では売上高:約30兆円、営業利益:約2.4兆円という、大企業です。トヨタの「カイゼン」は世界的にも注目されています。

トヨタのPDCAについては、多くの書籍で紹介されているくらい有名です。

トヨタの工場には必ず掲げられているキーワードがあるそうです。それが「5S」。5Sは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字から取っています。この5Sで行動規範を整えて、PDCAを回す土台を作っているのです。

トヨタのPDCA

トヨタのPDCAについてポイントについて説明します。

Plan

現状のたな卸しをおこない、計画を立てます。「算術より忍術」という言葉があり、過去の数字にとらわれず、工夫次第で数字はいかようにでもなるという考え方です。

Do

いくら計画をしっかり立てたところで、実行しなければ意味がありません。机上の計算だけではなく、現場へ足を運ぶことで可能性が見つかることもある。トヨタには「腰の重さは判断を誤らせるもと」という言葉もあるそうです。

Check

「ベンチマーキング」という評価方法で、成功事例と比較して、どのようにすればよりよい方向に持っていけるかを見つけ出します。自社、競合企業、異業種を含めてベンチマーキングすることが大切です。

Action

まさにトヨタの真骨頂「カイゼン」です。業務でカイゼンが進んだら成功事例として横展開をします。そうすることでノウハウが全社員に伝わっていくのです。改善はひとりで考えるのではなく、チームで考えることが大切。ひとりでは気がつかない点を周りの人が指摘してくれます。またトヨタではPDCAに加え「標準化」も徹底しています。ルールやマニュアルを作ることで、業務を属人化せずに誰でも対応できるようにするのです。

トヨタのPDCAに関する書籍を読んでいて、トヨタの「三現主義」という考え方は非常に素晴らしいと思いました。これは「現地に行き、現物を見て、現実を理解すること」。どんな仕事でも現場を見ることは非常に大切だと思います。

トヨタのPDCAに学ぶことはとても多いので、書籍を読むことをおすすめします。

(参考:原マサヒコ,2014『新人OLひなたと学ぶ どんな会社でも評価されるトヨタのPDCA』あさ出版

桑原 晃弥,2016『トヨタのPDCA+F 世界No.1企業だけがやっている究極のサイクルの回し方』大和出版

桑原 晃弥,2020『世界最強の現場力を学ぶ トヨタのPDCA』ビジネス教育出版社)

PDCAサイクルのメリット・デメリット

PDCAサイクルには、いくつかのメリットとデメリットがあります。

PDCAサイクルのメリット

まずひとつ目のメリットはPDCAサイクルを回すことで、目標を達成しやすくなることです。課題に対して集中的に取り組めます。

事業や業務には常に課題がつきまといます。ところが、ただ漠然と取り組んでいては、いつまでたっても解決できません。PDCAサイクルでは、目標を数値化することで明確にしたうえで計画を立て、その実現のために方策を考えてから実行します。このため、効率的に目標達成に向けて取り組めます。

Checkでしっかりとした検証がおこなえることも、メリットのひとつです。目標実現のために計画を立て、実行に移せば、なんらかの結果は出ます。ただし、どのような結果であれ、それに対して満足したり落胆したりするだけで終わっていては、それ以上の進歩は望めません。

Checkで検証した結果を分析して計画と比較することで、そのあとに取るべき行動(たとえば、Actionによる改善)を見極められるのです。変化の激しい社会にあって、現状維持は敗北と変わりません。PDCAサイクルを活用することで、行きあたりばったりではない、変化に対して柔軟に対応できる企業や社員へと成長できるのです。

PDCAのデメリット

成果が出るまでに時間がかかるのが、PDCAサイクルのデメリットのひとつです。PDCAサイクルは、Plan・Do・Check・Actionという段階をこなしていくため、どうしてもある程度の時間が必要になります。

何度か繰り返すこともあるため、PDCAサイクルは「結果が出るまでに時間がかかりすぎる」という指摘があるのも事実です。このため、ビジネスシーンのスピードの速さからすれば、若干時代遅れな手法であるともいわれます。

労力がかかるというのも、PDCAサイクルのデメリットです。PDCAサイクルを実施しようとすると、計画や予測を策定して実行し、結果を検証するという作業が必要になります。そのため人員が必要であり、それなりのコストもかかります。こうしたリソースが必要になることがネックとなり、PDCAサイクルに踏み切れない企業も少なくないのです。