銀行員といえば、昔は年収が非常に高い職業として知られていました。しかし、今はだいぶそのイメージが薄らいでいます。昔と同じイメージで銀行に就職すると後悔するかもしれません。この記事では、そんな銀行員の年収事情についてお話しします。

銀行員の平均年収は608万8,000円

東京商工リサーチの「年金給与調査」によれば、2020年3月期の国内銀行(大手行・地方銀行・第二地銀)79行の平均給与は608万8,000円でした。この金額は国内企業の平均給与436万円をだいぶ上回っています
※参考:国税庁「令和元年民間給与実態統計調査」

業態別平均年収は大手行がトップ

次は、銀行の業態別に銀行員の平均年収を見ていきましょう。

業態別の平均年収は、大手行が762万5,000円でトップ、続いて地方銀行の621万4,000円、第二地銀は550万8,000円となっています。また、平均年収におけるメガバンクと地方銀行の差は約141万円、第二地銀との差は200万円以上もあり、業態によって年収に開きがあることがわかります。

ただ、銀行別に見ると1位は第二地銀の東京スター銀行(832万1,000円)、2位は三井住友銀行(828万6,000円)、3位があおぞら銀行(793万円)となっており、業態だけでは年収を図れない部分もありそうです。

銀行員は役職が上がるほど年収が上がる

今はまだ平均年収が高い銀行員ですが、若手銀行員の年収は低めです。

大卒新入行員の月収は一般とほぼ同じ20万円。ボーナスや福利厚生を入れても年収300万円前後です。しかし、役職が上がるほど年収は上がります。部長・支店長クラスで年収1,000万円以上、役員なら年収2,000万円以上も珍しくありません。

ただし、年功序列の時代とは違い、今は一定以上の業績を上げなければ役職も上がりません。そのため、50代でも新入行員と変わらぬ年収の人もいます。

銀行パートの年収は意外と低い

銀行パート(非正規雇用)の年収についても触れておきます。

銀行パートの年収は意外と低めです。メガバンクでも時給1,100~1,200円程度、地方銀行だと時給1,000円を切り、県の最低賃金レベルのケースもあります。

銀行パートは、主にテラー、ロビー係、後方事務などを行いますが、どの業務もある程度の金融知識が必要で重い責任も伴います。それで時給が最低賃金レベルでは少し低すぎる印象です。

ただ、近年は銀行パートの応募者は減少傾向にあり、時給を上げる銀行も出てきています。

こんな銀行員は年収が上がりやすい

最後に、年収が上がりやすい銀行員のタイプを挙げます。

1.業務に必要な資格を取ると年収が上がりやすい
銀行員の業務には、あらゆる分野の金融知識が求められます。それに関する資格を数多く取得した方が年収は上がりやすくなります。

<銀行員が取得したい資格>
銀行業務検定試験(財務・法務・税務など23系統36種目)、FP、宅建、証券外務員(一種・二種)、生命保険・損害保険取扱資格、内部管理責任者など

ただし、年収アップには資格を生かして業績を上げることも必要となります。

2.営業店経験が豊富な人は年収が上がりやすい
以前から、営業店の経験が豊富な人は管理部門が長い人より早く出世して年収も高くなる傾向があります。銀行の利益は営業店が生み出すので、それは当然のことかもしれません。

銀行員の年収は今後下がるかもしれない

銀行員の年収は今後下がるかもしれません。フィンテックの導入で銀行の業務形態が大きく変化しつつあり、その変化に対応できない銀行や銀行員は淘汰される可能性があるからです。したがって、今後も銀行員が現在の平均年収を維持するためには、より高度な金融知識や変化への対応力が必要不可欠となるでしょう。

文・
元銀行員ライター。預金・為替業務に長く携わった経験をもとに、節約などの記事を多数執筆。現在はジャンルを広げて教育系の資格を生かした記事まで幅広く執筆。

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