F2層マジョリティであるパートで働く女性たちの家事分担と両立の苦悩

ワーキングマザーも専業主婦も、ワーキングシングルも!35歳~49歳女性の約9割はモヤモヤを抱えながら生きている
(画像=ひと研究所のメンバー、『LAXIC』より引用)

村田:今回のリサーチではセグメントではわけていませんが、パートで働いている女性というのは、実はF2層の中のマジョリティです。ですが、女性たち本人がライフスタイルとして中途半端に感じていたり、無意識のうちにフルタイムで働いている人とは違うと様々な側面で感じているようです。

実際に夫婦共にフルタイムで働いていても、家事の8割は女性が担っているのが日本の現実です。そんな状況の中で、パートタイムで働いている女性に対する男性パートナーの反応が「好きで働いているんでしょ」とか「結局はオレの稼ぎで食べているよね」というような古くからの固定概念に縛られている人も多いのも現状です。そんな中で、働き始めたのに、家事も育児も全て自分のままで、両立の大変さを家族に理解してもらえないことに「もやもや」している女性たちも多くいるのではないでしょうか?

編集部:同じようにモヤモヤを抱えている同年代のF2層なのに、ライフスタイルの違いなど「属性」によって、お互いがわかり合えないと感じる例も多いようです。それぞれの悩みを多く聞いた村田さんだからこそ伝えられる「わかり合えるためのコツ」ってありますか?

村田:確かに、学校や保育園でもよく「専業主婦vsワーママ」の図式が見られますよね、子どもの行事などでも温度差があったり、意見の違いが噴出しています。

以前、女性学の先生がお話しされていて、なるほどと思ったのが「ライフコースは結果論だ」というものです。ライフスタイルの違いや「属性」によって、価値観が分かれるかというとそうでもない。今ある自分の立場は、「自分の中の優先順位」や「環境」が生み出した結果であって、あの時違う道をもし選んでいれば、どれも自分にあり得た生き方だと思うんです。そして、この先も環境の変化はありうるわけです。

編集部:女性はいくつかの選択や環境の変化で、様々な立ち位置に変わりますからね。

村田:個人的には、だからこそ、それぞれの生き方もわかり合えるはずなのではないか、と考えています。もっと広い視点でお互いを見られるといいのではないかと思います。

高くなる理想像と現実のギャップ・・・解消法は

ワーキングマザーも専業主婦も、ワーキングシングルも!35歳~49歳女性の約9割はモヤモヤを抱えながら生きている
(画像=『LAXIC』より引用)

編集部:専業主婦とワーママ、SNSの普及によってお互いに今まで見えなかったモノまで見えてしまい、よけいに相手のライフスタイルに対するモヤモヤが増えていることはありませんか?

村田:実はSNSは、例えば関東圏であってもさほど多くの人が利用しているわけではなく、データ上ではF2年代で主なSNSのアクティブなユーザーは3人に1人くらいです。(※「F2層がFacebook,twitter,Instagramのうち、どれかひとつ以上を1週間以内に利用した率:35% ビデオリサーチ ACR/ex 関東50Km圏 2016年4-6月 F2データ N=737s」)

F2全体でみると大多数が使っているというわけでもないのですが、間接的にでもそうした情報に触れることは増えているのかもしれません。

ちょっと話が違うようですが、私の場合、自分の母親は専業主婦で「働くお母さん」を見て育っていません。自分の今の生き方と、ロールモデルである母親の生き方が重ならない部分もあり、よりどころのなさに繋がって、モヤっとするところがあるような気もします。例えば、私には小学生の子どもがいますが、夏休みは学童にお任せです。でも、自分が子どもの頃は母と夏休みに生き物を育てて観察したり、長期の旅行など夏休みらしいことをしていたんです。自分がしてもらったことを自分はしてあげられない。そういうところにモヤモヤすることは確かにあるのですが、違うからこそ、自分で自分らしい子育てを模索していかなければいけないんですよね。

編集部:そういう面では、理想として求めるレベルが高くなりすぎているのかなとも思うのです。例えば、バリバリ働きたいけれども、手作りのお菓子作りなんかもしたいよね・・・という風に、あらゆる女性の良い面だけを切り貼りして最高の目標としてあるような気がします。

村田:確立された自分の中でのロールモデルがないから、理想ばかりが高くなってしまうのかもしれませんね。輝きたいとか、あの人に出来るから私も、といったようにハードルが高くなってしまう。

編集部:どの属性においても、悩み多き日常を送るF2層ですが、ひと研究所で提案している解消法〝コーピング〟についても、ぜひお聞かせ下さい。

村田:心理学で、マイナスの心理状態の気持ちを持ち直すためにとる考えや行動が「コーピング」です。例えば、モヤモヤやストレスを感じた時にとる行動…、睡眠をとったり、食べたり、音楽を聴いたりという、日常生活の内側にあるものも「コーピング」になります。

私たちは無意識に心のバランスをとるために「コーピング」をしているような事があるんですね。買い物をして「ストレス発散で無駄遣いしちゃった」なんて後から思うかもしれませんが、罪悪感を感じる必要はなく、否定する必要もない。心の健康を保つための、ちょっとした達成感とか、こうしたコーピングはとても大事だと思います。

編集部:ちなみに村田さんにとってのコーピングはなんですか?

村田:私は緑に癒やされるんですよ。落ち着くんですね。通勤途中に、青々とした緑の葉っぱを見ているだけでホッとします。

モヤモヤフルネスの状態であるF2の皆さんも、自分なりのコーピングを見出しながら「谷間」をやり過ごしていくのが大事なような気がします。

 

女性活躍が叫ばれる背景の中で、ワーママはもちろん、専業主婦もワーキングシングルもDINKSも、それぞれみんなモヤモヤしています。お話を伺って、まずは自分のモヤモヤをコーピングで解消しながら、周囲の人への理解や共感を持てるようになれば、もっと暮らしやすくなるのかもしれない「立ち位置が違ってもわかり合うのは、本当はそれほど難しい事ではないのかもしれない」と感じました。

本来は企業の為のマーケティング材料としてリサーチがあると思いますが、f2ラボの結果は身近な話題であり、興味深いものでした。特に私たち世代を対象としているf2ラボ、これからもその活動と調査結果に注目していきたいと思います。

村田 玲子さんプロフィール

村田玲子(むらた れいこ)
株式会社ビデオリサーチ
ひと研究所 f2ラボリーダー

2001年ビデオリサーチ社。主に事業会社の広告宣伝評価やブランド管理に関わる調査設計・分析に従事。ひと研究所「F2ラボ」のリーダーとして、ミドル?性の暮らしと気持ちに関わる研究活動を行う。

提供・LAXIC

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