メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用における社員側のメリットとしてまず挙げられるのは、雇用の安定性です。終身雇用、年功序列の制度によって社員は安定してひとつの企業で働き続けられます。

また、社員教育を企業が担うため、スキルのない新卒社員も安心して教育を受けて働けます。加えて、ゼネラリストを育成するメンバーシップ型雇用では、ジョブローテーションをすることで、企業が必要とするスキルを満遍なく身につけることが可能です。

ジョブローテーションは社員が新鮮な気持ちで働くことを可能にし、新たな可能性に気がつく可能性も秘めています。また仕事に対するやりがいを継続的に与えることにもつながるでしょう。

企業側のメリットとしては、社員が会社への帰属意識を高めるため、離職率の低減に寄与し、愛社精神を持った社員の育成を可能にしてくれます。とりわけ会社の都合を理解し、さまざまな仕事を柔軟にこなすゼネラリストを育成することができます。

また経営方針の転換や欠員補充など、企業の都合に合わせてジョブローテーションが可能であるため、状況に応じた柔軟な対応を取ることができるのです。

メンバーシップ型雇用では社員と企業が定年まで付き合うことを前提とします。そのため信頼関係や仲間意識は自ずと強まり、これらを活かした組織運営が可能であることこそ最大のメリットだと言えるでしょう。

メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用における社員側のデメリットとしては、異動や転勤の可能性があることです。

ジョブ型雇用の場合は職務記述書(ジョブディスクリプション)にもとづいた職務をおこないますが、メンバーシップ型雇用の場合はそうとは限りません。部署異動で未経験の職務をおこなう可能性もあります。また転勤の可能性もあるでしょう。

企業側のデメリットとして、育成に時間がかかることが挙げられます。メリットの裏返しにもなりますが、ジョブローテーションをおこなうことで社員にいろいろな仕事を経験してもらい、ゼネラリストとして育成をしていきます。

期間をかけて育成をしていくので、途中で社員が退職をしてしまうと、それまでの育成にかけた時間やコストが無駄になってしまう可能性があります。

海外と日本の働き方の違い

メンバーシップ型雇用とは?意味や特徴、企業事例などを詳しく解説
(画像=『さくマガ』より引用)

日本のメンバーシップ型雇用に対して、欧米ではジョブ型雇用が一般的です。一例として、アメリカ合衆国において一般的な雇用理念に「任意にもとづく雇用(Employment at-will)」というものがあります。

これは雇用主と従業員が自由な意志によって雇用関係にあり、いついかなる理由であっても自由に雇用契約を破棄できるものだという考えです。

そのため、雇用主は特別な理由がなく解雇できるし、従業員もいつでも退職できます。もしも不当に雇用契約を破棄されたと従業員が考える場合は、提訴するなどの行動を自由にできます。ここでは雇用主と従業員は対等な関係です。

「任意にもとづく雇用」はジョブ型雇用の根拠となる理念であり、定年までひとつの企業で勤め続けることを前提としていません。新卒一括採用などの習慣はなく、個人は自分のスキルが活きる職場を見つけ、従業員として会社に入ります。

また、アメリカでは日本の労働基準法のような雇用関係を守る統一的な法律はありません。代わりに、公正労働基準法という残業代や最低賃金など給料に関する法律が重要視されています。加えて、雇用機会均等法によって人種などによる差別が禁止されており、これらの法律が不当な解雇など雇用関係にまつわる裁判において重要視されます。

新たな雇用形態を模索する時代へ

終身雇用、年功序列とあわせて語られるメンバーシップ型雇用は、時代遅れだとしばしば批判の的になる雇用形態です。

たしかに課題のある雇用形態ですが、雇用を安定させたり社員の帰属意識を高めるなどの大切なメリットもあります。これらの優れた点を活かしつつ、新たな雇用形態を模索することこそが企業に求められているのです。今後はメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用、両方のよいところを組み合わせることが大事になってくるのではないでしょうか。

まとめ

  • メンバーシップ型雇用とは、従来の日本企業で取り入れられていた総合職採用・年功序列制度・終身雇用・新卒一括採用の雇用システム
  • メンバーシップ型雇用が日本に根付いたのは、高度経済成長期
  • ジョブ型雇用は、勤務地や業務内容が限定的な専門性のあるスペシャリストを雇用する特徴がある
  • メンバーシップ型雇用における社員側のメリットは雇用の安定性
  • メンバーシップ型雇用における企業側のメリットは離職率の低減、ゼネラリストの育成
  • メンバーシップ型雇用における社員側のデメリットは、異動や転勤の可能性があること
  • メンバーシップ型雇用における企業側のデメリットは、生産性が上がりにくいこと


提供・さくマガ(「やりたいこと」を「できる」に変えるWEBマガジン)

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